2004 Fiscal Year Annual Research Report
児童養護施設における小舎制・グループホーム養育の有効性に関する研究
Project/Area Number |
16530366
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Research Institution | Aomori University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
佐藤 秀紀 青森県立保健大学, 健康科学部, 教授 (60265105)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 秀一 青森県立保健大学, 健康科学部, 助教授 (80315556)
前野 竜太郎 青森県立保健大学, 健康科学部, 助手 (50347184)
浅田 豊 青森県立保健大学, 健康科学部, 講師 (00315532)
鈴木 幸雄 北海道医療大学, 看護福祉学部, 教授 (20171267)
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Keywords | 児童養護施設 / 虐待 / 虐待環境 |
Research Abstract |
本研究は、北海道内の児童養護施設のうち、水準の高い実践を行っているA園を選定し、同園開園の1946年(昭和41年)から2002年(平成14年)にかけて入園および退園した児童909名(男児484名、女児425名)および彼らの親や家族(909家族)を対象に、彼らの基本的属性及び彼らの親の基本的属性に着目し、被虐待児グループ(132名)と統制グループ(140名)間において虐待を生じやすい親や家族などの虐待環境の特徴を明らかにした。 その結果、同一の児童養護施設における児童を被虐待グループと、統制グループ間で比較したところ、従来から子どもの虐待を生じる家族の特徴として報告されてきた、「入所時の同居家族」「きょうだいの有無」、従来から子どもを虐待しやすい親の特性や傾向として報告されてきた、「出生時の実父の平均年齢」「実父の最終学歴」『実父の施設入所歴」などの要因は必ずしも虐待児に特有ではなく、児童養護施設に入所を余儀なくされた児童の養育条件に共通しているものであった。 児童虐待の背景には、親の性格特性(実父母・継父母の問題行動)、親自身の虐待経験(親から虐待を受けていたかの有無)、出生にまつわる親側の情緒的問題(望んだ出産であったかどうか)、家族関係(父母の夫婦関係)などを含めた、親の行動的・情緒的・心理的な側面などの特徴が大きく関係しているものと示唆される。 被虐待児への対応は、発見-通告-調査-保護までは年々整備されてきているが、保護をした後のアフターケアの実施は、ほとんど行われていないのが実状である。本研究でも明かなように、被虐待児は感情のコントロールがうまくいかなかったり、問題行動を伴うことが多く、他の要保護児童に比較して養育の困難性があると捉えられる。したがって、専門家によるカウンセリングや系統的なアフターケアのプログラムが必要であり深刻な被虐待児は里親委託ではなく児童養護施設での専門的ケアを集中的に受けることが大切であると考える。そのためにも系統的なアフターケアのプログラムが必要とされているが、今後はさらにシステムやプログラムを整備していくことが重要となろう。
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Research Products
(1 results)