2005 Fiscal Year Annual Research Report
児童養護施設における小舎制・グループホーム養育の有効性に関する研究
Project/Area Number |
16530366
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Research Institution | Aomori University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
佐藤 秀紀 青森県立保健大学, 健康科学部, 教授 (60265105)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 秀一 青森県立保健大学, 健康科学部, 助教授 (80315556)
前野 竜太郎 青森県立保健大学, 健康科学部, 助手 (50347184)
浅田 豊 青森県立保健大学, 健康科学部, 講師 (00315532)
鈴木 幸雄 北海道医療大学, 看護福祉学部, 教授 (20171267)
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Keywords | 児童養護施設 / 虐待 / 虐待環境 |
Research Abstract |
本研究は、児童養護施設として水準の高い小舎制・グループホーム養育実践を行っている北海道内にあるA園開園の1946年(昭和41年)から2003年(平成15年)にかけて入園および退園した児童923名(男児493名、女児430名)のうち、被虐待児童132名を対象に、年代の6区分と、1)基本的属性、2)子どもたちの入所時所見との関連性について検討し、児童養護施設における運営形態の在り方についての示唆を得た。 その結果、 1)年代の6区分と児童の基本的属性との関係は、(1)入所時の平均年齢は入所後期の児童の年齢が高い。(2)入所理由として「盗み・粗暴・不良交友・家出外泊・放火・性的非行・金品持ちだし」が入所前期の児童に多い。(3)虐待のタイプは「子殺し(親子心中)未遂」が入所中期、「情緒的虐待」では入所後期の児童に多い。(4)虐待事実の確認は「病院」「福祉事務所」ともに入所後期の児童に多い。(5)入所時の同居家族は「実父」と同居していないケースが入所中期・後期の児童に多い。(6)他のきょうだいへの虐待は「本児のほかに他の子も虐待された」ケースが入所中期の児童に多い。 2)子どもたちの入所時所見との関係は、(1)入所直後の情緒・行動問題は「多動・おちつきのなさ(注意欠陥・多動障害)」が入所前期の児童に多い。(2)現在の情緒・行動問題は「他の子をいじめる」が入所前期の児童に多い。 このように児童養護施設は時代の推移とともに、その時の社会状況を強く反映しつつ、問題解決に努力してきたが、現在においても養護問題は新たな克服すべき課題をもち続けている。このような観点から、生活集団の構成を再考してみる必要があるものと思われる。児童の心に寄り添い、依存を保障できるよう施設内の生活集団を小規模化し職員を増員することが必要である。
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