2004 Fiscal Year Annual Research Report
アルコール依存症者のQOL向上とピアサポートの役割
Project/Area Number |
16530370
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
松田 博幸 大阪府立大学, 社会福祉学部, 助教授 (30288500)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
児島 亜紀子 大阪府立大学, 社会福祉学部, 助教授 (40298401)
田垣 正晋 大阪府立大学, 社会福祉学部, 講師 (30347512)
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Keywords | アルコール依存症 / ピアサポート / セルフヘルプ・グループ |
Research Abstract |
アルロール依存症者のQOLに影響を及ぼしているピアサポートの重要な場の一つとして、セルフヘルプ・グループである、アルコホーリクス・アノニマス(Alcoholics Anonymous ; AA)をあげることができる。今年度においては、AAにおいて回復のための言説が生み出されるプロセスに焦点をあて、そのようなプロセスを分析する方法を検討するための以下の作業をおこなった。(1)AAにおけるミーティングやAAの運営において用いられる言説を分析するために必要だと考えられる文献や情報の収集をおこない、分析のための枠組みの作成をおこなった。また、(2)AAの活動への関わりを通して自らの実践のありようを変化させたソーシャルワーカーに対するインタビュー調査を分析することによって、AAにおける回復のための言説と援助専門職者による援助のための言説との間にどのような関係があるのかを明らかにした。加えて、(3)カナダのオンタリオ州における精神障害者によるピアサポート活動の実態を調査することを通して、ピアサポート活動を支える言説が生み出されるプロセスが、専門職者主導の精神保健システムとどのような関係にあるのかを把握した。このような作業を通して、(1)AAにおける回復のための言説は、援助専門職者による援助のための言説とは異質なものであり、AAにおける言説を分析するためには援助専門職者による援助の言説を分析するのとは異質な分析方法を用いる必要があること、(2)2種類の言説の間に政治的な関係があり、AAにおける回復のための言説が援助専門職者が用いる援助のための言説を揺るがすことがあること、が浮かび上がってきた。
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Research Products
(1 results)