2005 Fiscal Year Annual Research Report
日本統治下における近代台湾社会福祉史の形成に関する研究
Project/Area Number |
16530382
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Research Institution | Chukyo University |
Principal Investigator |
大友 昌子 中京大学, 社会学部, 教授 (30060700)
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Keywords | 植民地 / 社会事業政策 / 近代化 / 台湾・朝鮮 / 福祉文化的基盤 |
Research Abstract |
研究実績として、平成17年度には、下記のようなテーマと内容で博士論文を取りまとめた。 1.論文テーマ:日本統治下植民地社会事業政策の研究…台湾と朝鮮の比較を通して 2.研究成果: (1)1895年から1945年にいたる日本統治下の植民地社会事業政策を、「近代化」指標を軸として台湾と朝鮮、さらに日本を取り込んだ比較研究を行った。 (2)研究成果は事象的帰結と論理的帰結としてまとめた。 事象的帰結では、社会事業の数量的分析から日本統治下の植民地社会事業の形成が日本のそれと比較して「抑制された近代化」であったことを明らかにした。 その内容は、(1)帝国日本の支配の下台湾朝鮮の社会事業形成の到達点が日本に比較して相対的に低い水準にとどまったこと。(2)台湾と朝鮮では社会事業形成の内容に共通性とともに大きな較差があり、台湾に比して朝鮮のそれがより低い水準にとどまったこと、があげられる。 論理的帰結では、(1)植民地社会事業政策の政治的メカニズムに関する理論的検討、(2)植民地社会事業の「近代化」と「福祉文化的基盤」についての理論的考察を行った。(1)では、植民地社会事業形成を3期にわけ、第1期植民地社会事業創設期では破壊と修復、第2期植民地社会事業拡大期では解体と統合、第3期植民地社会事業終焉期では戦争と福祉という、対話で示すことができた。また、台湾、朝鮮、日本の「福祉文化的基盤」の特質を明らかにし、分析概念ツールとしての有効性を検証した。
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