2006 Fiscal Year Annual Research Report
日本統治下における近代台湾社会福祉史の形成に関する研究
Project/Area Number |
16530382
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Research Institution | Chukyo University |
Principal Investigator |
大友 昌子 中京大学, 社会学部, 教授 (30060700)
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Keywords | 植民地社会事業政策 / 台湾 / 朝鮮 / 社会事業の「近代化」 / 「抑制的近代化」 / 解体と社会統合 / 北東アジア社会福祉史 / 戦争と福祉 |
Research Abstract |
1895年から1945年の51年間に日本は台湾、南樺太、関東州、南満州鉄道付属地、朝鮮、南洋群島を支配下とし、さらに満州国を立国支配した。その支配や占領の形態は異なるものの、すべての地域で行われた政策の一つに社会事業政策がある。この研究はおもに台湾と朝鮮の比較、また量的分析と質的分析を組み合わせて、日本統治下の社会事業政策についてその特質と意味を明らかにしようとするものである。以下では研究の事象的結論と理論的結論を箇条書きする。 1.日本における社会事業の「近代化」は1918年から1932年の戦間期に行われたが、日本の統治下にあった台湾、朝鮮もほぼ同じ時期に「近代化」が行われた。 2.社会事業「近代化」の枠組みは台湾、朝鮮、日本ともに、ほぼ同様であったが、その規模や質は日本のそれに比較して到達点が低く、「抑制的近代化」であった。 3.とくに、台湾に比して朝鮮の到達点が低いものとなった。 4.台湾、朝鮮における植民地社会事業政策は、3つに時期区分することができ、第1期は植民地社会事業創設期、第2期は植民地社会事業拡大期、第3期は植民地社会事業終焉期である。 5.植民地社会事業政策は第1期においては武力による「破壊」に対して「修復」の働きをし、第2期では植民地支配の恒常化による当該社会の「解体」に対し「社会統合」の働きをし、第3期の「戦争」状況下では「福祉」もまた戦争体制の先兵として、戦争体制の推進強化の働きをした。 6.今後、北東アジア近代社会福祉史の解明の第一歩として、本研究を位置づけることができる。
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Research Products
(2 results)