2005 Fiscal Year Annual Research Report
知的障害者入所施設の長期利用者に関する脱施設化方策の研究
Project/Area Number |
16530386
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
峰島 厚 立命館大学, 産業社会学部, 教授 (30149512)
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Keywords | 脱施設化 / 知的障害者 / グランドデザイン / 障害者自立支援法 / 日中活動の分離 / 障害程度区分 / 入所施設解体 |
Research Abstract |
本研究は、知的障害者入所施設の脱施設化方策を、とくに長期利用者に視点をあてて検討することを構想していたが、脱施設化に関わる施設事業体系が抜本的に変わろうとしており、脱施設化政策の分析に重点をおいて研究をすすめた。 05年10月「グランドデザイン」その具体化としての障害者自立支援法(06年4月、10月施行)は、脱施設化方策の推進という視点からは、次のように評価せざるを得ない。 1.たしかに、障害種別の統合化、日中活動の分離をすすめたが、2.大幅な利用者負担額増、現利用者の生活水準を大きく引き下げた運営を強いる低額な単価設定、現利用者の半数近くが対象外となるような障害程度区分による対象規定など、利用者の意向や現場の移行方策の活動などを無視した半強制の入所施設追い出し策であり、3.しかも主な移行先であるケアホームはさらに定額な単価であり、追い出されて家族のもとに戻らざるを得ない施策でもある。 したがって障害者自立支援法施策は、これまでの障害者基本計画における入所施設政策放棄からさらに進んで、入所施設解体方向に踏み出した施策と評価せざるを得ない。 本研究で取り上げた長期利用者の移行方策に関する事例検討でも、施設生活でADLが高くなっておりそれだけ対象外となる度合いも多く、かつケアホームが困難で、戻る家族もないという深刻な状態になることが想定された。さらに長期利用者だけではなく利用者全体に、自立支援法下(06年10月以後も含めた)の個別支援計画づくりの事例検討でも、「行き場がない」という事例もだされた。 これまで脱施設化研究では、「方策づくりの段階」と移行に向かう流れを前提に進めてきた。しかしその流れが大きく戻ろうとしている。今後の研究としては、脱施設化方策を模索する実践や活動を可能とする、現入所施設の維持・発展方向という入所施設の制度論研究もすすめていかなければならない。
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Research Products
(6 results)