2004 Fiscal Year Annual Research Report
児童福祉施設入所児童の学校における生徒指導課題と対応に関する研究
Project/Area Number |
16530387
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
野田 正人 立命館大学, 産業社会学部, 教授 (10218331)
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Keywords | 児童虐待 / 問題行動 / 学校 / 児童養護施設 / 特別な教育ニーズ |
Research Abstract |
近時、児童養護施設等では、そこでの処遇が困難になっていることから様々な議論が行われつつあり、学校現場も子どもの課題にどのような対応をするかを模索している段階である。スローガンとして教育領域では学校と社会との連携が求められ、福祉領域でも施設と地域や学校との共生やパートナーシップが重視されようとしているが、実際には教育と福祉との連携はまだまだ実質化されているとは言いがたい状況である。本研究は、子どもの問題行動に関わる教育と福祉との連携を具体的なレベルで明らかにし、学校内と外におけるモデルを提示しようと試み、そのためには、法的にも児童虐待の被害児が多く入所する児童養護施設や情緒障害児短期治療施設と、その子どもが通学する学校の抱える指導上の課題を明らかにし、適切なモデルを模索するものである。そこで16年度は、 (1)全国の児童養護施設と情緒障害児短期治療施設を対象に、処遇困難な状況を明らかにすると同時に、施設に対応する学校が、施設の子どもたちに関して処遇上課題と感じていることや、その課題を克服するために実施している対応などを郵送で調査した。 その結果、施設側からは、子どもとの人間関係を構築する難しさや行動化した場合の対応の困難さが指摘され、対人関係を切りひらく力が不足しているため、不登校や早退といった行為が目立つこと。 学校からは、問題行動が生じやすく、施設職員の苦労は理解しつつも、もう少し適切な対応への希望が多かった。 (2)4カ所の児童養護施設職員とその経験者にインタビューし、子どもの問題行動とその対応について聞いた。 その結果、施設で問題行動と考えるものは、非行や暴力など「反社会的行為」と、リストカットや不登校などの「非社会的行為」に加えて、本来の年齢や成熟に応じた行動がとれないといった「行動の制御ができない」「夜尿」「つめかみ」「整理整頓ができない」ことなどが含まれることがわかった。 そのため、経費面では、質問紙の印刷、郵送、回収、整理とインタビュー整理の反訳機の購入が中心である。
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