2006 Fiscal Year Annual Research Report
韓国の貧困地域におけるコミュニティ実践モデルを活用した子ども家庭支援システム研究
Project/Area Number |
16530389
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Research Institution | Mukogawa Women's University |
Principal Investigator |
前田 美也子 武庫川女子大学, 文学部, 助教授 (50309027)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ブー スン・レイ 吉備国際大学, 大学院・社会福祉学研究科, 教授 (60299138)
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Keywords | ソーシャルワーク / コミュニティ / 貧困 / 子ども家庭支援 / 地域福祉力 / 実践モデル / 社会福祉 / 韓国 |
Research Abstract |
本研究のプロジェクトにより、ソーシャルワークにおけるコミュニティ実践モデルを活用し、貧困児童家庭の支援システムの拠点として、2005年3月25日に児童福祉施設である「東三洞地域児童センター」(以下、センターとする)を韓国・釜山広域市影島区に設立した。研究がスタートした初年度は設立に向けての調査およびソーシャルワーク・アドボカシーを展開し、貧困問題に直面している子どもと家族に対するコミュニティを基盤とした支援システム構築に取り組み、協働体を形成した。社会福祉法人、行政機関、議会、大学、保育院、学校、医療・保健・看護機関、児童虐待防止センター、警察の青少年健全育成委員、ボランティア連合会、キリスト教会、寺院、消防団、住民代表組織、企業家、新聞社などの公私関係機関による協働体による運営委員会を結成し、2年目にはセンターの運営を研究者と運営委員がモニタリング、スーパーバイズするしくみを作った。このようなアクションリサーチによる実践によって、3年目の最終年度には以下のような成果を生み出した。今後、本実践研究により検証されたモデルの有効性と課題を広く普及し、地域福祉力の形成に向けての取り組みをさらに推進し、他地区への応用が期待されている。 (1)影島区庁ホールにおいて6月に本研究の成果発表として、研究代表者・分担者の報告に加え、釜山大学校をはじめ有名大学の研究者が参加し、シンポジウムを実施した。約350名の参加があり、区長、区議会長をはじめ社会福祉、教育関係者などの関係者も多く、新聞、ラジオ、テレビ等にも取り上げられた。日本の補助金助成研究によって設立された意義と感謝が伝えられ、本プロジェクトが地域児童センターのモデル事業であるとの評価が定着した。 (2)利用している児童のケース分析・聞き取り調査を実施した結果、栄養、体力、学習、生活態度・意欲、マナー、人間関係などがセンター利用前と比べてかなり改善されていることが明らかとなった。また、崩壊家族、離別母子家庭の父母がセンター利用をきっかけとして、夫婦関係に影響をもたらし、家族の再統合に結びついたケースもある。 (3)本研究プロジェクトのモデルに理解が深まり、区長や区の社会福祉課の強力な支援を獲得し、区において地域児童センター、区のソーシャルワーカー、学校ソーシャルワーカー、教育委員会、総合地域福祉館などが連携し、地域の児童問題を共有、解決していくためのあらたな事業がはじまり、影島区の地域福祉力が高まったといえる。 (4)センターに一時保護の機能をもたせ、夜間保護を開始し、中学生へのケアに関するプログラムを開始した。 (5)地域児童センターの全国の情報機関が設立され、ソーシャルワーカー研修プログラム開発をセンターと共同で実施する予定である。IT技術を駆使した新たな教材、マニュアルづくりに本研究の成果が応用できることとなった。 (6)当事者参加の視点により、母子家庭の母親の自立支援をし、資格取得を促し、ケアワーカーとして養成した。
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Research Products
(5 results)