2004 Fiscal Year Annual Research Report
クリティカルシンキング志向性を高める対人社会的要因
Project/Area Number |
16530402
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
廣岡 秀一 三重大学, 教育学部, 助教授 (30199111)
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Keywords | クリティカルシンキング / 対人社会的要因 / クリシン志向性 / 考える力 / 動機づけ / 縦断研究 / クリシン経験 |
Research Abstract |
クリティカルシンキング(以下、クリシン)志向性の尺度に関してその妥当性を確認する研究を行った。具体的には、「志向性」を訪ねるための複数の質問文を用意し、それらを比較した。また、これらの調査は、複数の大学・学部で実施され、尺度の信頼性を確認するとともに、既存の類似した概念との関係を確認しながら、尺度の妥当性が確認された。 第2に、大学新入生のクリシン志向性の入学後の変化について縦断的データを用いて分析した。4月〜7月にかけて3回の質問紙調査を行った結果、クリシン志向性に関連する要因として、日常でどの程度クリシンを経験しているのかという「クリシン経験」と大学進学や勉学に対する「動機づけ」との関連が見いだされた。また、4月のクリシン志向性の高い学生ほど、考える力を刺激される授業があったと認知しており、さらに考える力を刺激される授業があったと認知した学生は7月のクリシン志向性を高めていることがわかった。これらのことから、クリシン経験が多い学生はクリシン志向性を高め、クリシン志向性が高い学生ほどクリシン経験を多くしているという相互関連性が示唆された。さらに、入学後の3ヶ月間に「考える力を刺激された授業」があったと認知している学生の方が、そうでない学生よりもクリシン志向性を高めていたという結果は、大学教育において、新入生の段階からクリティカルに考える機会を与えることの重要性を示す結果として解釈された。 第3に、大学でクリシン志向性を身につけるためのクリシン経験の重要性を検証するために、探索的な検討を行なった。大学最終学年生に対し、4年間での社会的な経験の有無を問い、クリシン志向性を変化させることに影響している経験を探索的に検討した。その結果、ゼミなどでの議論の経験とクリシン志向性との関連が強いことなどが明らかとなった。
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Research Products
(1 results)