2006 Fiscal Year Annual Research Report
クリティカルシンキング志向性を高める対人社会的要因
Project/Area Number |
16530402
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
廣岡 秀一 三重大学, 教育学部, 教授 (30199111)
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Keywords | クリティカルシンキング / クリシン志向性 / 高等教育 / 教育評価 / クリシン能力 / 自由記述データ / Performance Assessment / Rubric |
Research Abstract |
クリティカルシンキング(以下、クリシン)を、能力・スキルと志向性の2つの構成要素に分け、クリシン教育という視点から、能力・技術を獲得させることよりも先に、日常的な社会的相互作用の中でクリシンに対する志向性を獲得、向上させることが重要であるとの考えから、本研究は、高等教育とりわけ大学教育においてクリシンを促進させる要因、特にクリシンへの志向性を高める対人社会的要因を探求し、論理的で誤りの少ない合理的な処理を促進させる態度を養うことにつながる要因を同定するとともに、実際に大学教育プログラムの中に反映させようとすることを大きな目的としたものである。 本年度の大きな課題は、一連の研究の最終段階として、クリシンの能力・スキルを測定する方法を探求することであった。具体的には、18年度に収集された自由記述データ、(すなわち「考える力」や「問題を感じる力」を大学生がどのように認識しているのかを自由記述させ、それがどのような経験を積み重ねれば獲得可能かについての自由記述させたデータ)、を質的・量的に分析した。またこの分析を通して、PA (Performance Assessment)的なクリシン能力の評価が可能になるいくつかのRubricを作成しようと試みた。ただし、Rubricの確立までには至っておらず、被験者のクリティカルな思考のパフォーマンスを客観的に測定する手法の確立はできていない。 一方で、18年度にはこれまでの研究知見の蓄積から、所属大学における全学部の新入生全員を対象とした縦断調査を開始し、大学生のクリティカルに考えようとする志向性や能力の測定を4年間にわたって継続する縦断研究を開始した。これによって、大学生のクリシン志向性・クリシン能力の発達モデル、および高等教育環境改善の基礎資料とすることができる教育評価体制を構築した。
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Research Products
(4 results)