Research Abstract |
質的比較分析(Qualitative Comparative Analysis ; QCA)は,米国の社会学者C.C.Ragin(1987)によって,主として国際比較や社会変動のメカニズムを考察するために考案されたものである.ファジィ質的比較分析(fs/QCA)は,原因条件をファジィ集合で表現する質的比較分析のファジィ理論への拡張である(Ragin,2001).ファジィ質的比較分析については,"ファジィ質的比較分析の展望"(日本知能情報ファジィ学会誌,2004,16巻,3号,222-228)として論じた.質的比較分析は,事例データに対して,元来電気技術者がスイッチ回路を単純化するために用いるブール代数を適用し,スイッチング論理や論理回路の分野で用いられている論理関数(論理式,論理回路)の簡略化(minimization)を利用し,どのような条件が組み合わされたときに,どのような社会的現象が生じるのかというパターンを抽出しようとするものである.ところで,データマイニング手法において,質的比較分析と同様に,ある現象が生じるためのルールを抽出する手法に決定木がある.したがって,質的比較分析の特徴を検討するために,あるいは他のデータマイング手法とのバッテリーを探るために,本年度は決定木をさまざまな職業業界に関して適用することを試みた.それらは,ホテル業界,デパート業界,ギャンブル型レジャー産業などの領域である.それらの研究成果は,4編の大学紀要論文にまとめた.また,本年度は7〜8月に韓国で開催された2004年国際観光学術大会での発表の折に,本研究の海外共同研究者である東明情報大学校・劉亨淑講師に調査を依頼した.質問紙調査の内容は,日本及び韓国の大学生の職業選択動機,職業人生設計などに関するものであり,現在得られた調査データの分析を行っている.平成17年度はそれらのデータを分析,考察を行った後,その知見をもとに日本-韓国の比較分析を発展させていく予定である.
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