2005 Fiscal Year Annual Research Report
親子三者間の共同行為の中で習得される幼児のコミュニケーションスタイル
Project/Area Number |
16530407
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Research Institution | Bunkyo Gakuin University |
Principal Investigator |
上村 佳世子 文京学院大学, 人間学部, 教授 (70213395)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加須屋 裕子 文京学院大学, 人間学部, 教授 (60296291)
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Keywords | コミュニケーションスタイル / 三者間相互行為 / 幼児 / 共同行為 / きょうだい / 文化的道具 / 会話の指向性 / 言語環境 |
Research Abstract |
家庭における親-きょうだい-子の三者間相互行為で提供される言語環境のなかで習得する、幼児のコミュニケーションスタイルの特徴を明らかにすることを目的とした。家庭におけるおもちゃを介した社会的相互作用の観察をおこない、VTRに記録した。2歳6か月時では、母親は相互主観的モード(ウチの視点)で関わり、父親は確認・応答的モード(ソトの視点)で関わっていたのに対して、きょうだいは、親の働きかけに対応して対象児に補足的に関わることが示された。すなわち、母親参加場面では同等・競合的に、父親参加場面では情報提供・教示的な機能を果たした。3歳0か月時になると、対象児の認知・社会的能力が高くなり、会話への参入や自己主張ができるようになると、親を介したきょうだい間の競合的関係が顕著になり、母親参加時と父親参加時の親の働きかけの差異や指向性の偏りが小さくなった。きょうだい間でおもちゃや会話の主導権をめぐる対立や競争、喧嘩の他に譲り合いも観察され、このことは対象児の発達に伴い、きょうだいの発達モデルとしての自意識よりも競合関係が強くなったためと考えられる。これは逆に、対象児の自己主張と同時に、自己抑制や相手の意図の理解の促進につながるものであった。さらにこの時期に新たに見られるようになったのは、親のことばの暗黙的、間接的表現で、とくに母親に多く観察された。以上のことから、家族の共同行為のなかで親やきょうだいは、その時点において子どもにとって習得すべきスキルの学習・訓練に必要な言語環境を提供しており、その中で幼児は、複数のコミュニケーションスタイルを獲得していっていることが示唆された。
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Research Products
(1 results)