2005 Fiscal Year Annual Research Report
期待効用理論によらない非合理的な行動を支える心理機制に関する実証的研究
Project/Area Number |
16530410
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Research Institution | Mukogawa Women's University |
Principal Investigator |
安藤 明人 武庫川女子大学, 文学部, 教授 (70159523)
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Keywords | 期待効用理論 / 非合理的行動 / 擬似ギャンブリング行動 / コントロール錯覚 / コントロール欲求 / 原因帰属 / 後悔 / 喜び |
Research Abstract |
今年度は,意思決定に伴う後悔と喜びの感情の生起が,個人差変数として取り上げたコントロール欲求とどのように関連しているかについて検討した。コントロール欲求の測定にはコントロール欲求尺度(the desirability of control scale ; Burger & Cooper,1979)の日本語版(安藤,1995)を用いた。 被験者(n=104)に6問のクイズを与え,その答えを2つの選択肢から選ばせた。その際,「事前に行ったアンケートによりマッチングされたパートナー」(実際には存在しない)の回答とその理由も同時に提示され,それを参考にして回答を変更する機会が提供された。問題1,2は正解が存在する問題で,被験者の選んだ回答と「パートナー」の回答が一致するように操作され,問題3〜6は正解が存在しない問題で,「パートナー」の回答と食い違うように操作された。回答を最終決定した後に,その時の後悔と喜びの感情の強さの評定を求めた。 コントロール欲求の強さと自分の最初の判断を「パートナー」の判断に影響されて変更する程度の関連を調べたところ,コントロール欲求が強い被験者ほど自分の判断で最終決定することが多かった。 意思決定後の感情については,コントロール欲求の高低に関わらず,後悔の感情については,回答を変更した場合としなかった場合で有意差は見られなかったが,喜びの感情については,自分の回答を変更しなかった場合のほうが強かった。つまり後悔の感情は意思決定の方法による差は見られないが,喜びについては,自分で意思決定を行ったほうが強いことが明らかになった。 以上の結果より,人は意思決定に際して,意思決定結果の正しさ以上に,決定に伴う快感情の獲得にバイアスがかかった非合理的な意思決定をすることが示唆された。
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