2004 Fiscal Year Annual Research Report
遊びの即興性を対象にした創造性生成の微視的・縦断的分析
Project/Area Number |
16530415
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
佐藤 公治 北海道大学, 大学院・教育学研究科, 教授 (60113669)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 崇 北海道大学, 大学院・教育学研究科, 助手 (20360878)
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Keywords | 即興性 / 創造性のシステム論 / 幼児の共同遊び / 協同的創造活動 / 空想とファンタジー遊び / 遊具 |
Research Abstract |
幼児の共同遊びの過程にみられる新しい遊びのテーマや遊具、その遊び方の新しい利用などの創出とその共有化、そのための条件について1年間にわたる保育園と幼稚園の二つのフィールドにおいて縦断的な観察と幼児同士の相互行為展開を発話分析と非言語的な視線・動作反応などの微視的な分析を行った。そこでは、新しい遊びの意味を創発していくためには、幼児が共同遊びの内容と状況をモニターしながら、その遊びの状況にふさわしい発話とさらに新しい遊びへと展開していくような発話と行為展開を行うという二つの異なった活動を同時に行っていくことが必要であることが明らかになった。そこでは創造性に関するネットワークでこれまで指摘されていることと同じように、遊びの活動の展開の中で作られた文脈や状況に関する把握と、その連続の中で、しかしじことの繰り返しではなく、新しい何かが変化として起きるためには、そこに関与している者が自己の行為に没頭しているのではなく、第3者的な視点から状況を把握すること、次に何を起こすと新しい変化が起きるのかという短期間の見通しを持つことが必要である。幼児の遊びの場合にはこのような機能を果たしている発話として、現実の遊びの内容についての客観的な言及があった。同時に、遊びを進行させていくためには空想とファンタジーの世界を形成していく発話も必要で、これら二つを適時使い分けながら遊びを展開していくことが必要であるが明らかになった。これらが適切になされることで新しい遊びの共有化が可能になり、いわば協同的な創造活動の最も原初的な形態が幼児の遊びの中で起きていることが指摘できる。発話に加えて遊具とその使用の仕方も遊びの状況と文脈を定義し、またその使用の改変は新しい意味の創発の手がかりとして使っていることも明らかになった。
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Research Products
(4 results)