2006 Fiscal Year Annual Research Report
全国調査のコホート分析による思春期変化に関する発達心理学的研究
Project/Area Number |
16530422
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
日野林 俊彦 大阪大学, 人間科学研究科, 教授 (80156611)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
南 徹弘 大阪大学, 人間科学研究科, 教授 (40030043)
赤井 誠生 大阪大学, 大学教育実践センター, 教授 (90192872)
|
Keywords | 思春期 / 初潮 / コホート分析 |
Research Abstract |
本年度は、2005年2月の第11回の全国初潮調査の集計の女子小学生・中学生の分析を継続した。2005年調査では最終的に全国47都道府県の1176校の小学校・中学校から個人調査表を回収している。小学校4年生から中学校3年生、6学年のべ49636人の資料を回収した。これは母集団の1.4%に相当する。 これにより過去11回の累計調査者は3,020,037人となった。本年度は、以下のように、時代推移を確認するとともに、興味関心と性成熟の関係を分析し、思春期に子どもへの関心が高まること、初潮に先行することを確認した。 (1)いわゆる平均初潮年齢(メディアン)はプロビット法を用いて計算した結果、12歳2.6ヵ月、標準偏差1歳3.6ヵ月であった。2002年2月の12歳2.0ヵ月に比較して、0.6ヵ月遅くなった。これにより、遅滞傾向というよりは、性成熟年齢の停滞傾向が持続していると考えられる。 (2)本年度は、さらに付加質問である「あなたは、将来(大人になったら)何になりたいですか」への自由回答を分析した。小学校5年生から中学校3年生まで、保育士(幼稚園の先生等)が第1位となった。なお、小学校4年生では2位であった。また回答率のピークは中学校1年生の12.4%である。子どもと関わる職業への関心は、思春期における子どもや生殖性への関心の増大と考えられる。しかし、全学年で保育士回答者の既潮率は、平均より下回り、初潮経験の直接的な影響ではないと考えられる。 全体して、女子は思春期に子どもへの関心が高まることが窺われた。このこどもに関わる職業への関心は、初潮に先行すると考えられる。なお、思春期変化としての性別受容の低下は中学校2年生で反転し、子どもへの関心とは異なる傾向を示した。
|
Research Products
(3 results)