Research Abstract |
今年度は,スクールカウンセラー(以下SC)や教師の援助に対する意識・態度を明らかにするための尺度を検討するために,help-seekingに関する文献研究を実施した。文献検索はpsycINFOを対象に実施された。その結果,addiction,学業的援助要請に関する研究,Domestic Violenceに関する研究など231論文を抽出した。援助に対する態度を測定している尺度としてFisher & Turner(1970),Fisher & Farina(1995),田村・石隈(2001),Turkum(2004)があった。援助に対する不安を測定する尺度として,Deane & Chamberlain(1994),Kushner & Sher(1989),Komiya et al.(2000),水野・石隈(2001),水野(2004)があった。中学生を対象にした尺度は少なかったので自由記述調査を実施した。まず,7月に高校生116名を対象に,中学時代を回想してもらいSC・教師へ相談する意識を自由記述で尋ねた。次に,6月と10月に大学生58名を対象に同様の調査を実施した。さらに中学生98名を対象に調査した。以上の回答を分類した結果,(1)「SC,教師は忙しいので相談のために時間をとらせてしまうのは申し訳ない」,「SC,教師は忙しいので私の問題は相談できない」などの<遠慮>,(2)「SCや教師に相談したら友達は私のことを『変わった人だ』と思う」,「SCや教師に相談したことについて秘密が守れるかどうか心配だ」などの<汚名への心配>,(3)「SCや教師に相談するときに自分の問題をどのように話して良いかわからない」,「私はSC,教師に問題を上手く伝えられない」などの<スキル・自己開示>,(4)「あまりよく知らない人には自分は相談したくない」,「どんな深刻な問題でも相談するよりは自分で解決した方が良い」,「友人や家族に相談する」といった<スクールカウンセラー回避>の4つのカテゴリーにまとめられた。援助を求めることに対する否定的な側面だけが抽出されたため,肯定的な側面についても調査する必要が認められた。そこで,3月に東京都内の中学生70名を対象に,SCに相談するときの肯定的な態度についての自由記述調査を実施した。現在,分析中である。
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