2004 Fiscal Year Annual Research Report
擬人化が幼児の共感的認知に及ぼす影響と母親の入力言語における擬人化
Project/Area Number |
16530425
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
村瀬 俊樹 島根大学, 法文学部, 教授 (70210036)
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Keywords | 擬人化 / 道徳判断 / 共感性 / 絵本 / 育児語 / 信念 |
Research Abstract |
乳児に対することばかけにおける擬人化と養育者の言語観・発達観の関連性を検討するため,1歳6ヶ月の子どもを持つ養育者に対して,子どもに対することばかけにおける人称接尾辞・幼児語(擬音語擬態語・音の重畳)の使用傾向,子どもに対する言語観,子どもに対する発達観を質問紙によって調査した。予備的調査の結果,人称接尾辞の使用傾向と言語観における共感的ことばかけ重視との間に正の相関関係があることが明らかとなった。 また,日本とアメリカの公共図書館で養育者向けに出されている絵本の読み聞かせに関する文書の内容分析を行った。その結果,日本の文書では,子どもと養育者との情緒的関係を重視する記述が多く,アメリカの文書では,読み書き能力との関連性や,命名,アクティブな参加を重視する記述が多いことが明らかとなった。 幼児における共感的認知については,保育園年中組,年長組の子どもを対象として,擬人的言語表現が,無生物に対する共感性や無生物に対する行動についての道徳判断に及ぼす影響を検討した。無生物にたいして,人称接尾辞を付与する群,無生物に対して名前を付け人称接尾辞も付ける群を設定し,統制群と比較してその効果を検討した。その結果,いずれの群でも無生物に対する共感的な反応が見られたが,無生物に対するネガティブな行動に対する道徳判断の理由として,接尾辞付与群と人名+接尾辞付与群では,無生物を擬人化した判断理由が統制群よりも多い傾向があった。
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Research Products
(1 results)