2005 Fiscal Year Annual Research Report
障害児の「きょうだい児」のための心理発達支援プログラムの開発に関する心理学的研究
Project/Area Number |
16530429
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
遠矢 浩一 九州大学, 大学院・人間環境学研究院, 助教授 (50242467)
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Keywords | 障害 / 自閉症 / きょうだい / 発達支援プログラム |
Research Abstract |
平成16年度に引き続き、脳性麻痺児を主とする運動障育児、および自閉症児・知的障害児のきょうだいに対する支援プログラムの実施および、「障害児の"きょうだい児"のきょうだい間葛藤の処理方略」に関する研究を行った。 その結果、障害児のきょうだい児にとって、プログラムの中における主役体験、および母子関係における主役体験の二つの主役体験が重要であることが示唆された。プログラムの中での主役体験により、日常的に家庭内役割として、お手伝いや障害をもつ同胞の面倒をみるといった援助的役割をとることが多いきょうだい児にとって、活動の中で第一義的に賞賛され、中心的に取り扱われる体験は心理的な活性化のために重要であることが明らかとなった。また、プログラムの中で、母親と二人だけで過ごす機会を設けることで、母親からの優先的な愛着体験を持つことができ、そのことが、障害児のきょうだいとしての家庭内役割へのエネルギーをもたらす可能性が示唆された。 さらに、自閉症児のきょうだい児の同胞間トラブル場面における認知特性について検討した結果、自閉症児きょうだい群に特有の報告内容が認められた。例えば、「おもちゃの取り上げられ場面」において、自閉症児きょうだい群において、「出生順位重視」,「きょうだいへの保障」,「自己責任・注意」,「同胞へのお仕置き」,「具体的提案」といった健常きょうだい群に見られないカテゴリーが見受けられ、自閉症児のきょうだいに特徴的なトラブル回避方略が存在することが示唆された。
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