2006 Fiscal Year Annual Research Report
オノマトペにおける言語・認知発達と教育および療育効果の実証的研究
Project/Area Number |
16530436
|
Research Institution | Sugiyama Jogakuen University |
Principal Investigator |
石橋 尚子 椙山女学園大学, 人間関係学部, 助教授 (90232339)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
有働 眞理子 兵庫教育大学, 学校教育学部, 助教授 (40183751)
丹野 眞智俊 神戸親和女子大学, 文学部, 教授 (00039215)
高野 美由紀 兵庫教育大学, 学校教育学研究科, 講師 (70295666)
|
Keywords | オノマトペ / 言語発達 / 認知発達 / 幼児教育 / 学校教育 / 障害児教育 / 療育 / 韓国(日韓比較) |
Research Abstract |
本研究は、オノマトペ(擬態語・擬声語)という感性に関わる表現を通して、言語・認知・行為についての知的体系とその発達について考察することを目的としたものであり、「幼児期の子どもや知的障害児のオノマトペ使用状況の分析」と「オノマトペ使用による教育活動並びに療育活動の有効性の実証」を中心課題として研究を進めてきた。その結果、概略以下のような知見を得ることができた。 1.乳幼児が使用するオノマトペを「音を表現」「動きを表現」「状態・感覚を表現」「内的状態を表現」に分類した結果、外的世界を単なる音や声で写すことから、外的世界と自分の感覚との複雑な関係をオノマトペで表現するようになる(発達する)ことが推測された。この内的変容はオノマトペの連想内容の変容にも如実に現れ、連想が深まっていく。 2.オノマトペを教育・療育活動で使用することの有効性としては、授業の活性化が第一に挙げられる。オノマトペは、臨場感を持たせて児童を授業にひきつける動機付け的役割から、対話と動作を促進する役割を経て、動作の継続・応援をする共鳴・共振現象へと発展し、授業を活性化する。 3.子どものオノマトペの表出には、親や教師といった周囲の大人の言語活動や言語感覚が多大な影響を及ぼす。 4.韓国では、自己表現能力育成のために、幼児教育・学校教育・障害児教育等においてオノマトペを重視している。韓国教育に学び、国内におけるオノマトペ使用の授業展開と教材開発を提案していきたい。 本年度の日本発達心理学会において、本研究の集大成ともいえるラウンドテーブルを実施した(2007.3.25)。「オノマトペ(擬音語・擬態語)へのアブローチ」の表題の元、尾崎まゆみ(歌人)氏、角岡賢一・(龍谷大学)氏、那須昭夫(筑波大学)氏の協力を得て、発達心理学・文学・照言語学・音韻論・療育の5つの角度からオノマトペの機能・役割・本質などに迫ることができた。参加者とも活発な意見交換がなされ、オノマトペに関する研究者ネットワークを構築していきたいと考えている。
|
Research Products
(7 results)