2004 Fiscal Year Annual Research Report
母子家庭の家族システムと快復プロセスに関する縦断研究
Project/Area Number |
16530444
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
堀田 香織 埼玉大学, 教育学部, 助教授 (10251430)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
沢崎 俊之 埼玉大学, 教育学部, 教授 (30226063)
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Keywords | 母子家庭 / シングルマザー / 家族システム / 離婚 |
Research Abstract |
学童期の子どもを養育するシングルマザーを対象としたインタビューを継続するとともに、母子家庭の自助団体である、しんぐるまざーず・ふおーらむにおいて、母子家庭の理解と仲間づくりを目的とした「母子家庭の子どものためのサポートクラス」を開催し、子どもへの参与的観察を行った。また母子家庭に家庭教師や遊び相手として大学生の派遣活動を行い、大学生のスーパービジョンを行いながら、母子家庭の子どもたちの抱える問題を継続的に追跡・分析した。 こうした実践的研究活動の中から、特に学童期の男児を養育する母子家庭について、危機的な状態からの家族システムの再編と快復プロセスを明らかにしたのが、「母子家庭の家族システムと快復プロセス-学童期の男児を抱える母子家庭を対象として-」(心理臨床学研究第23巻第4号掲載予定)である。本論文では、子どもが乳幼児期の離婚の場合、離婚による父親喪失よりも母親の育児機能の低下によって危機が生じやすいこと、母子家庭という心理的閉鎖空間における母子のネガティブな感情の悪循環が生じやすいこと、そうした危機状態から、子どもの問題行動の中に意味を見出し、展望を抱き、母子家庭が社会に開かれることによって悪循環が解消していくことという回復プロセスが見出された。また父親が意識的にも無意識的にも母子に影響を与え続けることが考察された。 また中学生までに母子家庭となった家庭で養育された青年への回想法のインタビューにより、母子家庭になって以降の困難、また別れる前から、別れて現在に至るまでの、父親との関わりや父母に対する気持ちの変化を聴取した。これらの語りを「親の離婚を体験した青年の語り」として、第16回日本発達心理学会(2005.3)において発表した。
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Research Products
(1 results)