2004 Fiscal Year Annual Research Report
社会・文化的視点に立った聴覚障害児・者の臨床心理的支援システムの構築
Project/Area Number |
16530455
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Research Institution | Sapporo Gakuin University |
Principal Investigator |
滝沢 広忠 札幌学院大学, 人文学部, 教授 (40118112)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鳥越 隆士 兵庫教育大学, 学校教育学部, 教授 (10183881)
河崎 佳子 佛教大学, 教育学部, 助教授 (70234119)
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Keywords | 聴覚障害児・者 / 臨床心理的支援システム / ろう学校でのスクールカウンセリング / 新生児聴覚スクリーニング検査 |
Research Abstract |
わが国における聴覚障害児・者に対する心理臨床的援助の実態を明らかにするため、心理、医療、教育、福祉(更生施設など)の現場でどのような取り組みがなされているか調査した。あわせて英国の実態についても調べた。(1)医療機関で聴覚障害者を専門に扱っている精神病院は全国に1ヶ所しかなく,他は手話通訳者を利用しながらの診療が中心であり,体制は整っているとはいえない。(2)文部科学省は公立学校にスクールカウンセラーを配属する計画を進めているが、ろう学校は除外されており、特殊教育現場における心理臨床的な取り組みは遅れている。(共同研究者の鳥越は,ろう学校でスクールカウンセリングを行いながら,教育相談に関して調査研究を行っている。また河崎は,ろう学校で母親カウンセリングを試みている。)(3)聴覚障害児の早期発見,早期療育を目的に新生児聴覚スクリーニング検査が実施されている。そこで検査後リファーとなった子どもを受け入れているのはろう学校の乳幼児教育相談室であるが、スクリーニング検査事業にかかわる関係機関の連係はスムーズに行われているとはいえず,保護者に不安を与えている実態が明らかにされた。(4)福祉施設でも、専門的に心理臨床的援助を行っているところは少ない。滝沢は身体障害者授産施設で精神的な問題を抱えた利用者の取り組みを調査しており、また河崎は,聴覚言語障害センター更生訓練における心理相談活動の総括を通じて,心理職の役割の具体化と援助員との連携について考察を進めている。(5)英国では精神的な問題をかかえたろう者の治療を行っている国の機関が5ヶ所あり,政府予算も計上されている。関係機関との連携もスムーズである。また聴覚障害に対する理解を深めるための取り組みも行っており,学ぶべきところが多い。
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Research Products
(2 results)