2004 Fiscal Year Annual Research Report
虐待の疑いのある子どもに対する面接技法の開発-被誘導性対策を中心として-
Project/Area Number |
16530460
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Research Institution | Tokyo Kasei University |
Principal Investigator |
越智 啓太 東京家政大学, 文学部・心理教育学科, 助教授 (40338843)
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Keywords | 児童虐待 / 性的虐待 / 心理テスト / 子供の証言 / 被誘導性 / 犯罪捜査 / インタビュー |
Research Abstract |
本研究では、被虐対児童を識別するための心理学的な手法について実験的な研究を行った。研究の第1段階として、心理学的な手法を用いた虐待被害児童識別の研究をデータベースや関係者の聞き取り調査を使用して網羅的に収集した。また、とくにアメリカを中心とした児童虐待施設等での虐待被害児童の識別、査定方法についての情報をひろく収集した。次にこれらの研究を統合し、心理テストなどの査定のみでは、虐待児童識別は困難であり、実効性のある識別を行うためには、被害児童から、できるだけ正確な証言を聞き取っていくことが最も重要であることを明確にした。この際、重要になってくるのは、こどもの被誘導性の問題である。これは、こどもが大人のインタビュアーの意識的、無意識的な誘導に従って、迎合した回答をしてしまうことである。具体的には「おとうさんは、ここをさわったの」と何度も聞くことによって、実際には、その部位をさわられていなくとも「うん」などの肯定的な回答を子供がしてしまう場合があるのだ。そこで、子供の被誘導性に影響している要因についての発達心理学研究、法と心理学分野の研究を集め、被誘導性を減らすための手法やアイディアを抽出した。さらに、これらのアイディアを理論的、実用的な観点から比較検討し、インタビューに先立って、子供に耐誘導訓練を行うことによって、その後の誘導的な質問に対する耐性を形成するという方法が、実用的にももっとも優れているのではないかと言うことを明らかにした。これを実証的に検討するために、3〜5歳児を対象にして、実験を行った。これは、子供に短い時間のイベントを観察させた後で、誘導的な質問を行い、何問に引っかかってしまうのかを調べるものであった。この実験の結果、インタビューに先立って耐誘導試行を行った場合には少なくとも5歳児の場合には、誘導性を減少させることが示された。今後、このメカニズムについてより詳細に検討していくつもりである。
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Research Products
(2 results)