2005 Fiscal Year Annual Research Report
自閉症圏障害幼児のコミュニケーション能力発達の前方視的検討
Project/Area Number |
16530462
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Research Institution | Okinawa International University |
Principal Investigator |
財部 盛久 沖縄国際大学, 総合文化学部, 教授 (50175436)
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Keywords | 自閉性障害 / 母子相互交流 / ビデオ・フィードバック面接 / 間主観的 / 愛着 |
Research Abstract |
昨年度から継続しているケースの1組は終了となったが、残りの1組に加え今年度から新たに1組のケースが対象として加わった。今年度から新たに加わったケースは知的発達に遅れのない高機能自閉症と診断されている4歳の男児で発語がある。2組の親子を対象として母子相互交流場面にける関与しながらの観察を行いながら、親子がどのように相互交流を行っているのかについて検討している。 子どもの行動を親がどのような意味として受け止めるのか、ビデオフィードバック面接を通して検討している。母親は、子どもの行動に対して親独自の意味づけをしていることが明らかになっている。親が子どもの行動を理解する際には、親の主観が関与しているが、親は自分の主観的な受け止め方については意識することなく、ほぼ自動思考といってよいような捉え方になっている。このことは、子どもに何かの意図がある行動であっても、親は子どもの意図に気づくことがなく、結果的に子どもからのメッセージを無視ないしは誤解するということになる。子どもはこの繰り返しの中で、自分の意図を親に対して自由に伝えることができず、親子のコミュニケーションは深まることがない。おそらく、親子相互の主観的な理解がずれるなかで日々の生活が進行しているのだろう。 今後は、親の子どもの捉え方がどのような経過の中で形作られるのか明らかにしながら、親の子ども理解についての変化を検討する必要がある。それと同時に、子どもの情動表出がどのように変化をしていくのか、特に発達に遅れがある場合と大きな遅れがなく発語がある場合では、どこがどのように異なるのかを検討する必要がある。 今年度までの研究で、自閉症児が情動レベルでコミュニケーションを展開する際に、親との愛着関係の深まりが大きな鍵を握っていることが明らかにすることができた。
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