2005 Fiscal Year Annual Research Report
視覚情報処理における形と表面属性ゆ関する心理学的研究
Project/Area Number |
16530464
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
森田 ひろみ 筑波大学, 大学院・図書館情報メディア研究科, 講師 (00359580)
|
Keywords | 視覚 / 視覚探索 / パターン認知 / 表面属性 / 傾き |
Research Abstract |
視覚情報処理におけるパターン認知の研究は、主に輝度分布パターンを対象として行われてきたが、実際には外界の物体は色やテクスチャなど様々な表面属性をもっており、その不連続によって物体の輪郭が知覚される場合も多々ある。本研究はこのように様々な表面属性の不連続からなるパターンの知覚について調べることを目的とする。 昨年度は、輝度あるいは色定義の部分からなるパターンや運動定義の部分どうしからなるパターンは視覚系の初期過程において並列的に傾き処理がなされるが、輝度あるいは色定義の部分と運動定義の部分からなるパターンは視覚的注意のもとで働く後期過程の柔軟なメカニズムにより傾き処理がなされるというモデルを提案した。 本年度は、上記研究の拡張を目的として、異なる属性により定義されたパターンどうしの視覚系における表現の共通性を調べた。その結果、【実験1】異なる奥行きにおかれた両眼視差定義パターンどうしは共通の傾きマップ上に表現されるが、この傾きマップと輝度定義パターンの傾きマップは独立であることがわかった。一方、【実験2】輝度定義パターンとテクスチャ定義パターンは共通の傾きマップ上に表現されることもわかった。更に、【実験3】輝度定義パターンと運動定義パターンは異なる傾きマップ上に表現されるが、運動定義パターンと両眼視差定義パターンは共通の傾きマップ上に表現されることが示唆された。以上の結果から、輝度あるいはテクスチャ定義のパターンと運動あるいは両眼視差定義のパターンでは傾き表現の場が異なることが推測される。(以上の研究成果の一部は日本心理学会第69回大会で発表した。)これらの結果は、昨年度の研究成果の意味を明確化するとともに脳の解剖学的な知見(輝度やテクスチャなど「何」の知覚に関係する処理は腹側経路において、運動や両眼視差など「どこ」の知覚に関係する処理は背側経路においてなされる)とも対応する。
|