2005 Fiscal Year Annual Research Report
プロトタイプカテゴリーをめぐる比較認知心理学的研究
Project/Area Number |
16530465
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
實森 正子 千葉大学, 文学部, 教授 (80127662)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
須藤 昇 千葉大学, 文学部, 教授 (40154611)
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Keywords | カテゴリー / 比較認知 / プロトタイプ / ハト |
Research Abstract |
人の顔画像を合成し、人工的なプロトタイプ・カテゴリを作成した。典型性は、カテゴリの中心に位置するプロトタイプとして定義された顔の合成率で定義することができる。前年度は、プロトタイプ合成率50%の多様な事例のカテゴリ弁別を訓練したところ、プロトタイプ効果が見られた。本年度は、そのメカニズムについて検討した。 実験1 16年度の結果がピークシフト(頂点移動)と類似の現象か否かを、プロトタイプ合成率35%の事例を負の訓練刺激とする継時弁別後般化勾配と比較することによって検討した。いずれの般化勾配においても頂点はプロトタイプ合成率100%のプロトタイプに出現し、明らかなプロトタイプ効果が見出され、ピークシフト類似の現象ではないことが明らかになった。 実験2 新奇な顔とプロトタイプ顔を合成した様々な刺激でテストしたところ、プロトタイプを頂点とする般化勾配が得られ、新奇な顔特性に対しても柔軟にカテゴリー化が行われることが示された。 実験3 実験1や2で用いたカテゴリーと構造的に類似した人工カテゴリーを、9種の色からなる四辺形を用いて作成した。ハトはカテゴリー弁別を容易に学習し、新奇事例へは典型性(家族的類似性度)に対応した反応を示した。人の約半数はカテゴリー弁別の学習が困難であり、学習した人においても典型性(家族的類似性度)に従った新奇刺激への転移は見出されなかった。 以上の実験でハトに見られたプロトタイプ効果は、事例+特性学習モデルによって良く説明できることが示された。昨年度および実験1と2の成果は、第9回ヨーロッパ心理学会招待シンポジウム(於:グラナダ、スペイン)にて発表した。実験3の成果は英語論文(題目:Discrimination of artificial categories structured by family resemblances)にまとめ外国雑誌に投稿した。
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Research Products
(2 results)