2006 Fiscal Year Annual Research Report
プロトタイプカテゴリーをめぐる比較認知心理学的研究
Project/Area Number |
16530465
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
実森 正子 千葉大学, 文学部, 教授 (80127662)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
須藤 昇 千葉大学, 文学部, 教授 (40154611)
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Keywords | 実験系心理学 / 比較認知科学 / 行動 / 進化 / 認知心理学 / 比較心理学 |
Research Abstract |
人の顔画像をMorphingの方法を用いて合成し、人工的なカテゴリーを作成した。前年度までの研究によって、ハは、同一カテゴリー内の事例に共通すると同時に、対立するカテゴリー間で異なる顔特性を抽出し、それらの顔特性のMorphing合成率に従った般化勾配を示すことが明らかにされた。18年度は、このような顔カテゴリー内の成員間に機能的等価性が獲得されていたか否かを検討した。従来の研究で用いられてきた色や形や線分などの物理的な刺激とは異なり、本研究に用いたMorphingによって作成したカテゴリーでは、カテゴリー内のすべての成員の間にある程度の類似性が成立している。このようなカテゴリー内の成員間では、それらの間の類似性を介して機能的等価性が獲得され易いと考えた。 機能的等価性の成立を確かめるための手法として、選択的逆転訓練の転移テストを行った。すなわち、カテゴリー訓練に用いた事例からごく少数の事例だけを選択して、その事例についてのみ反応を逆転する訓練を行い、その後にこの逆転が他の多様なすべての事例にも転移するか否かをみた。たとえば、顔画像AとM(カテゴリー内に共通するParent)をMorphing合成して作成した訓練事例と、それと対立するカテゴリーの同様の事例に対して反応を逆転することを訓練した後に、この逆転がBとMを合成して作成した訓練事例とそれと同様の対立カテゴリーの事例に転移するかを見た。その結果、逆転の転移は見られず、機能的等価性が成立しないことが示された。そこで、たとえばAとBを合成して得たABとMの合成画も加えたところ、それと類似性が高いAとMの合成画やBとMの合成画には逆転が転移したが、類似性が低いCとMの合成画には転移しなかった。このことから逆転の転移は類似性による般化であり、ハトは機能的等価性を獲得していないことが結論づけられた。
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Research Products
(2 results)