2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16530466
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
本田 仁視 新潟大学, 人文学部, 教授 (50124623)
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Keywords | サッケード / 上丘 / 注意 / 注視ニューロン |
Research Abstract |
本研究は(1)中脳の上丘(superior colliculus)には注視時に特異的に反応する細胞(注視ニューロン)やサッケード眼球運動に特異的に反応する細胞(サッケード・ニューロン)が存在するという最近の神経生理学的知見,および(2)サッケード眼球運動と視覚性注意は密接に関連しているとする実験心理学的知見にもとづき,サッケードの反応時間(反応潜時)を指標とした実験を健常者を被験者としておこなうことによって,上丘を中心とする皮質下の視覚系が果たしている役割を検討することを目的としている.初年度の16年度においては,実験に必要な機器やコンピュータ・プログラムを作成し,注視ニューロンの活性化・非活性化が,saccadic remote distractor effectとよばれる現象(サッケードの目標刺激の提示と同時に,別の刺激を目標刺激と異なる位置に提示すると,サッケードの反応潜時が増加する現象)にどのような影響を及ぼすかを調べるための,予備的な実験をおこなった.実験では注視ニューロンの活性化レベルを操作する方法として,注視点を消去する条件や,注視点を継続的に提示する条件を設定し,両条件におけるsaccadic remote distractor effectの変化を調べた.その結果,注視点の消去はsaccadic remote distractor effectを維持するが,注視点の継続的提示は,saccadic remote distractor effectを大幅に減少させることが示された.この研究成果は,今年度の日本視覚学会冬季大会で発表した.来年度以降は,この知見をふまえて,さらに種々の実験パラメータを操作し,上記の予備的実験で得られた知見を確認していくとともに,さらに別の実験方略を考案して,研究目的を達成する予定である.
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