2007 Fiscal Year Annual Research Report
胎児期の記憶と出生直後の学習が母親と父親への愛着をいかに形成するか
Project/Area Number |
16530468
|
Research Institution | Shiga University |
Principal Investigator |
兒玉 典子 Shiga University, 教育学部, 教授 (50127007)
|
Keywords | 胎児 / 新生児 / 愛着形成 / 羊水 / 母乳 / 行動発達 |
Research Abstract |
今年度は,まず昨年度の実験データを補充した。すなわち,出生後2日齢と3日齢のSic:ICRマウスを用い,新生児を両親から離した後に,両親に対してネンブタール麻酔を行い,両親を観察装置に入れ,新生児の父親への選好を検討した。その結果,2日齢から3日齢にかけて,新生児はいずれの親に対しても長い接触持続時間を示したが,特に母親への持続時間が長くなった。しかし,どちらの親への接触持続時間が長かったかを新生児ごとに求めてパーセンテージを検討したところ,約6割の新生児が母親に,約4割が父親に対して長い接触持続時間を示した。 次に,出産した母親から母乳を採取し,それを父親の胸部付近の体毛で作成したブラシに付着させ,帝王切開胎児の反応を検討した。この実験は,昨年度の補充実験が両親をそのまま用いるものであったのに対し,父親の持つ刺激を分離して複合させていく方法に基づくものである。実験の結果,帝王切開胎児は母乳の付着した父親の体毛ブラシに対し,頭部の上下伸展運動,頭部の回転運動,前肢の運動などの持続時間を増加させた。 この実験の結果を,平成16年度からの母親の体毛を用いた実験と比較すると,母親の体毛の場合には羊水の効果が母乳の効果よりも大きいので,両親の体毛の刺激効果は互いに異なると考えられる。このことは,新生児が父親と母親をさまざまな刺激の複合体として区別していることを示すものである。
|
Research Products
(2 results)