2005 Fiscal Year Annual Research Report
小児の注意欠陥多動性障害の成因に関する実験心理学的手法による神経行動科学的分析
Project/Area Number |
16530470
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
杉岡 幸三 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (90112127)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡市 広成 同志社大学, 文学部, 教授 (40066288)
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Keywords | 多動性 / 馴致遅延 / 空間認知障害 / 海馬 / 発生学的形態異常 / メチルアゾキシメタノール / 作業記憶 |
Research Abstract |
小児の注意欠陥多動性障害(AD/HD)の成因を探るために、ラット胎生期メチルアゾキシメタノール(MAM)投与によって、海馬の発生学的形態異常を有するAD/HDモデルを作成し、これらの動物が示す行動異常と神経学的所見との相関を求めた。 胎生15日MAM投与動物(MAM-15群)および対照群について、1)離乳期および成体期に実験的飼育環境事態での自発的活動性を赤外線センサーを用いて5分ごとに測定したところ、どの分析時期においても、暗期でMAM-15群は雌雄とも多動傾向を示した。雌雄差はいずれの群においても成体期において観察され、雌性ラットの方が顕著に活動性が高かった。2)離乳期および成体期に、5分毎に室内光が明暗する視覚性環境刺激変化に対する馴致過程を同様の装置を用いて分析したところ、どの発達時期においても対照群と比べてMAM-15群は雌雄とも馴致の遅延傾向を示した。3)モリス型水迷路事態で、場所課題、手掛かり課題および遅延見本合わせ課題下で、それぞれ空間的参照記憶および作業記憶を分析したところ、いずれの課題においてもMAM-15群は空間認知障害を示したが、手掛かり課題においては障害の程度は顕著ではなかった。また、遅延見本合わせ課題下においては2分間の遅延時間にもかかわらず、MAM-15群は訓練を通してチャンスレベルに留まり、顕著な作業記憶の障害を示した。 MAM-15群で観察された多動傾向、馴致遅延(注意欠陥)および空間認知障害は海馬の発生学的形態異常(海馬CA1に特異的な錐体細胞の拡散および異所性の錐体細胞の集塊)と相関していると考えられ、これらのことは、AD/HD発症が海馬の発生学的形態異常と関連している可能性を示唆するものである。
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Research Products
(2 results)