2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16530471
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
坂田 省吾 Hiroshima University, 大学院・総合科学研究科, 教授 (50153888)
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Keywords | 時間知覚 / 弁別学習 / ラット / 脳波 / ピーク法 / 海馬θ波 / ERP |
Research Abstract |
本研究では,スカラー特性に基づいた時間知覚の情報処理理論にしたがい,時間認知の脳内メカニズムを明らかにすることを目的としている。本年度は海馬θ波の分析を中心にラットの時間弁別行動との関係を検討した。30秒を強化設定時間とするピーク法を用いて課題遂行中のラットの海馬θ波を測定した。海馬θ波は計時行動のみならず移動行動を反映する指標としても用いられている。この点の検討については回転輪走行を用いた研究から明らかとなった。制限摂食をして動機づけを高めた状態では回転輪をよく回し,海馬θ波パワも増大する。この結果は昨年動物心理学研究と行動科学の学会誌に掲載された。また,海馬は空間知覚との関連で多くの研究が行われているが,本研究から非空間的な課題であるピーク法を用いた計時行動においても,海馬θ波を指標とすればより多くのことが明らかになることの可能性が示唆され,この結果は生理心理学の学会誌に総説として掲載予定である。 時間弁別行動中の脳内電気活動記録とその反応出現ピークと関連した脳波分析を,MATLABから作成したプログラムを使用して分析した。行動的な反応出現ピークは従来Gibbonが提唱したSETやMachadoが報告しているLeTよりも,今回分析しているPoisson分布を用いた当てはめ曲線の方が適合がよいという結果が得られた。また海馬θ波に焦点をあてた脳波分析からは海馬のみならず線条体を中心とするドパミン神経系の関与も示唆されている。結果の一部は2007年11月にサンディエゴで開催されたNeuroscience Meetingで発表した。このようなデータの結果の積み重ねが時間知覚の脳内メカニズムの解明へとつながる。動物を用いた時間弁別行動に関する脳と行動の研究はまだ黎明期である。これから研究者が増えて計時機構の脳内メカニズムが解明されることが期待される。
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Research Products
(12 results)