2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16530478
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Research Institution | KANAZAWA INSTITUTE OF TECHNOLOGY |
Principal Investigator |
近江 政雄 金沢工業大学, 情報フロンティア学部, 教授 (70016616)
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Keywords | 同時並行作業 / 認知負荷 / 非侵襲脳機能計測 / 近赤外線トポグラフィ / 運転パフォーマンス / 計算課題 / 把持運動負荷 / 注意バイアス |
Research Abstract |
本研究の目的は、被験者が同時に並行して作業をおこなっているときの脳活動を計測し、作業の時間経過や困難さによる注意や判断のための認知負荷の違いによる脳活動の変化を評価することである。平成17年度は、認知負荷課題として把持運動負荷を課して近赤外線トポグラフィシステムによる計測をすすめるとともに、認知負荷の情報処理に対応する脳内部位を推定するために、注意バイアスの認知課題への影響の脳磁図計測システムによる計測をおこなった。 1.認知負荷課題として、実物および仮想のハサミで紙を切る把持運動負荷を与えた。パフォーマンスと赤外線トポグラフィによる脳活動の変化の連続計測をおこなった。把持運動時間の経過とともに脳活動が徐々に減少することが示された。脳活動の減少の程度は、仮想のハサミで紙を切った場合のほうが大きいことが示された。これらの結果は、把持運動中の脳活動のレベルが感覚フィードバックによって変化し、フィードバックの質が良い場合のほうが、作業時間が経過しても脳活動のレベルが維持されることを示唆する。 2.被験者の注意資源にバイアスを与えるために、さまざまな情動価の映像を呈示し、心的回転課題および色判別課題の、応答時間と脳磁図計測システムによる脳活動の計測をおこなった。情動価と覚醒度が高い映像の呈示によって、認知課題の応答時間が増加することが示された。また、この応答時間の増加に対応した脳磁応答の遅れが側頭葉において見られることが示された。これらの結果は、情動応答にともなう注意バイアスによってもたらされた作業の困難さが、側頭葉における認知課題の情報処理プロセスに影響を与えることを示唆する。 今後は、さまざまな認知負荷課題を課して、近赤外線トポグラフィシステムと脳磁図計測システムによる計測をさらにすすめるとことによって、認知負荷の情報処理に対応する脳内部位を推定する必要がある。
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Research Products
(3 results)