2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16530483
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Research Institution | Kobe College |
Principal Investigator |
山 祐嗣 神戸女学院大学, 人間科学部, 教授 (80202373)
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Keywords | 二重過程理論 / 推論 / 比較文化研究 / 集団主義文化 / 個人主義文化 / 合理性 / 分析・全体的処理 / 顕在・潜在的処理 |
Research Abstract |
理論的研究として、Nisbett et al.(2001)の、個人主義文化の西洋では分析的処理が優位で集団主義文化の東洋では全体的処理が優位であるとする主張に、分析的・全体的の2つのシステムを仮定する二重過程理論を導入している。二重過程理論では、全体的処理のシステムは文化普遍であり、文化差は分析的処理のシステムで生じているとされる。この矛盾を、ジーン(遺伝子)とミーム(文化的遺伝子)の区別を行なっているStanovich and West(2003)の修正二重過程理論によって解決する。二重過程理論は、適応・合理性概念と強く結びついているので、文化と精神の間に適応課題を介在した新しい文化・精神相互作用モデルの提唱になる。この成果は、Mind & Society誌で審査中である。 また、上の理論的枠組みにしたがって、2つの日英比較文化研究を実施または計画中である。第1は、条件推論における追加情報の効果で、全体的処理が優勢な日本人は、英国人に比較して、追加情報の効果が大きいと予測されている。第2は、研究協力者の佐川奈緒による自己観の研究で、「英国人は原則的な自己観、日本人は状況的な自己観」という従来の結果に加えて、日本人に英語で答えさせるという条件を追加して、従来の結果には文化差だけではなく言語差も含まれていることを示唆した。 その他、推論研究の価値と今後の発展(Yama & Manktelow,2004)、二重過程理論の心理相談における意味(山,印刷中)、虚記憶研究における二重過程理論の適用(川崎・山,2005;Kawasaki & Yama, in press)などについて言及したものが、成果として出版されている。
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Research Products
(6 results)