2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16530483
|
Research Institution | Kobe College |
Principal Investigator |
山 祐嗣 神戸女学院大学, 人間科学部, 教授 (80202373)
|
Keywords | 二重過程理論 / 推論 / 比較文化研究 / 集団主義文化 / 個人主義文化 / 合理性 / 分析・全体的処理 / 顕在・潜在的処理 |
Research Abstract |
理論的研究として、Nisbett et al.(2001)の、個人主義文化の西洋では分析的処理が優位で集団主義文化の東洋では全体的処理が優位であるとする主張に、分析的・全体的の2つのシステムを仮定する二重過程理論を導入している。二重過程理論では、全体的処理のシステムは文化普遍であり、文化差は分析的処理のシステムで生じているとされる。 この理論的枠組みにしたがって、日英比較文化研究を実施した。これは、日仏共同研究(CHORUSプログラム)からもサポートを受け、日英仏の文化比較研究となっている。すでに、東洋人は西洋人に比較して、後知恵バイアス(hindsight bias)が大きいことが示され、それは東洋人が全体的処理をしてより複雑なモデルを持つためであると説明されている。わたしたちの研究では、この「複雑なモデル」を海外研究協力者であるKen Manktelowが提唱したSuperPという概念で記述しようとするものである。SuperPとは、発話者がpと述べるときに仮定するpの基になる上位原理である。東洋人は、ある事象の結果を知っただけでSuperPが利用可能になるが、西洋人は、その結果の理由まで考えないと利用可能とならないという傾向(だたし、統計的には有意ではなかった)を得た。この成果は、"A Cross-Cultural Study on Conditional Reasoning and Hindsight Bias"というタイトルで、CogSci2006で発表される。 その他、虚記憶研究における二重過程理論の適用(川崎・山,2005;Kawasaki & Yama(2006)、自己批判バイアスを、選好の偏りの結果として説明できるとするもの(谷口他,2006)が、成果として出版されている。
|
Research Products
(5 results)