2004 Fiscal Year Annual Research Report
記憶と情動の関係における海馬-扁桃体-前頭前野回路機能の研究
Project/Area Number |
16530484
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
瀧田 正寿 独立行政法人産業技術総合研究所, 人間福祉医工学研究部門, 主任研究員 (40344204)
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Keywords | 前頭前野 / 海馬 / 扁桃体 / 作業記憶 / 恐怖条件づけ / イボテン酸 / 寡動 / 学習 |
Research Abstract |
Sprague-Dowly系雄性ラット成体を用い、恐怖条件づけに用いる被験体は自由摂食摂水で、遅延選択課題に用いる被験体は水制限下の餌自由摂食で飼育した。恐怖条件づけについて、フリージング時間と動作(条件付け箱の振動)を行動指標とし、ピュアトーンとフットショックを用いて恐怖条件づけを行った。その翌日、ネンブタール麻酔下(50mg/kg)、脳定位固定装置に固定し、0.01M pH7.4リン酸緩衝液に溶解した興奮性アミノ酸の一種であるイボテン酸を、0.1μl/minの流速で26ゲージの注射針より注入した。偽手術群へは溶媒のみを注入した。腹側海馬(頭蓋のブレグマ縫合を基準に後方6.0mm横5.45mm、脳表面下5.5mm)、扁桃体基底外側核後部(同2.5mm、4.9mm、7.8mm)、内側前頭前野(同3.5mm、0.8mm、3.8mm)と、その間(扁桃体-海馬、扁桃体-前頭前野、海馬-前頭前野)の神経連絡を対象として、両側性と半球交差性に細胞体破壊を行った。この3部位3連絡の機能不全効果は条件付け7日後と8日後の反応行動で評価した。その結果、扁桃体の両側破壊群は、両日のコンテキストとトーンへのフリージングと寡動状態が共に強く抑制されたが、海馬と前頭前野では両指標への僅かな影響しか認められなかった。この強い抑制は、扁桃体-海馬路不全群でも同様に認められたが、扁桃体-前頭前野路と海馬-前頭前野路不全群はフリージングの強い抑制が認められながらも寡動状態を維持した。以上の結果を論文にまとめる作業を行いつつ、作業記憶課題のトレーニングを進め、且つそれぞれの脳部位・経路への電気生理的、生化学的解析を発展させた。
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Research Products
(2 results)