2004 Fiscal Year Annual Research Report
フランス革命期「総栽政府内務省公教育手稿史科」に基づく公教育組織作業の実証的研究
Project/Area Number |
16530493
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
小林 亜子 埼玉大学, 教養学部, 助教授 (90225491)
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Keywords | フランス革命 / 総裁政府 / 公教育 / エコール・サントラル / 共和三年憲法 / 公教育組織法 / フランソワ・ド・ヌフシャトー / デスチュット・ド・トラシ |
Research Abstract |
本研究は、フランス革命後期、総裁政府期(1795〜1799年)において、革命開始後初めて本格化した公教育組織作業を、フランス国立古文書館所蔵「内務省公教育手稿史料」の分析をもとに解明し、革命期の公教育について、理論と実態の両面からその全体像を捉え直そうとするものである。 研究の初年度は、刊行史料の存在しない総裁政府期の公教育の実態を解明するため、フランス国立古文書館所蔵の未刊行史料の調査・収集を重視した。その際、「内務省公教育手稿史料」を中心に、次の三つの柱をたてて、体系的に収集した。(1)「内務大臣による公教育実態調査」「調査の分析報告」関係の史料。(2)「公教育評議会議事録」など公教育評議会関係文書。(3)「地方コミューンからの請願」など地方の公教育に関する現状報告・要望等。次に、収集したこれらの「内務省公教育手稿史料」のデータ・ベース化を行った。また、史料の分析・読解もすすめた。さらに、総裁政府期の内務大臣をはじめ公教育の実施に際して重要な役割を演じた人々の研究も不可欠であるので、フランソワ・ド・ヌフシャトー、デステュット・ド・トラシ、ラカナル、ドヌー、ボワシ・ダングラなどについてもフランスで史料を収集し研究をすすめた。 こうした作業の結果、総裁政府期においては、共和三年憲法の採択と「公教育組織法」の成立をうけて、公教育の整備が本格化し、革命戦争による併合地も含めたすべての県に設置された100校以上の「エコール・サントラル」とのやりとりの文書が手稿史料として残されたこと、また、数年後には内務大臣による「公教育実態調査」が行われたが、その調査史料も残されていることがわかった。こうした総裁政府期の公教育の実態の解明は、フランスの研究者によっても殆ど行われておらず、貴重な成果をもたらす見通しである。
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Research Products
(2 results)