2005 Fiscal Year Annual Research Report
地方分権的教育行政・自律的学校運営とその民主主義的規制に関する理論的・実践的研究
Project/Area Number |
16530499
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
中嶋 哲彦 名古屋大学, 大学院・教育発達科学研究科, 教授 (40221444)
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Keywords | 地方分権改革 / 教育自治 / 学校自治 / 義務教育 / 指定管理者 / 規制改革 |
Research Abstract |
地方分権的教育行政と自立的学校経営に民主主義的正統性を付与し、それらを民主主義的に規制する原理とシステムを構想するため、それとは対極的な市場と選択によって正統性を付与しようとするストラテジーにもとづく改革が進められたアリゾナ州における実態を調査した。同州ではバウチャー制度を導入せず、チャータースクールの設立を柔軟に容認する政策を採用するとともに、学力テストの結果に基づき公立学校を強制的に改革する制度を併用している。この制度は中産階級の支持を得ていると思われるが、学校教育活動が学力テストへの対応に重点化されており教育課程上のバランスが失われている。 地方自治法改正により指定管理者制度を導入され、公共サービスの民間開放、公的施設の民間事業者による管理運営を推進されている。この制度は中央教育審議会においても一時、公立学校の管理運営制度として活用することが検討されている。地方教育行政及び学校管理運営の在り方を大きく変貌させる可能性をもつ制度であるため、公立図書館への指定管理者制度導入問題に着目しその意義と問題点を検討した。その結果、教育機関としての自治、保護者・住民の教育意思の反映、教育制度としての継続性の確保が困難であることが明らかとなった。 犬山市教育委員として同市の教育行政に参画し、地方分権的教育行政の在り方を実践的に検討した。そのなかで、同市では地方分権的教育行政・自律的学校運営の一つの実践として「学びの学校づくり」を進めてきた。その延長上で、同市教委は、文部科学省が計画している全国学力調査は教育課程編成・実践における地方・学校の自主性・自律性を奨励してきた文部科学省自身の方針と矛盾するものであるとの結論づけるに至った。同市教委が文部科学省と異なる判断をするに至ったことは、地方分権的教育行政の推進の一つの帰結と言えよう。
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Research Products
(3 results)