2006 Fiscal Year Annual Research Report
地方分権的教育行政・自律的学校運営とその民主主義的規制に関する理論的・実践的研究
Project/Area Number |
16530499
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
中嶋 哲彦 名古屋大学, 大学院教育発達科学研究科, 教授 (40221444)
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Keywords | 教育行政 / 学校運営 / 地方分権 / 地方自治 / 規制改革 / 教育政策 / 教育基本法 / 地方教育行政 |
Research Abstract |
2006年(平成18)度は教育基本法改正に象徴される国の教育制度改革が相次いで展開され、首都圏ではそれに呼応するように地方公共団体の教育制度改革が精力的に展開された。とりわけ、本研究のテーマである地方分権的教育行政と自律的学校運営に関連する制度改革は急速に進展した。他方、数の上では少数に留まるものの、国の教育改革路線とは別の道を歩むもうとする地方公共団体も現れた。本研究の研究代表者が直接関与する犬山市教育委員会はその代表的な事例であり、本研究はその改革の渦中にあって、地方教育行政と公立学校の管理運営に直接関わりながら、そこに課題を見出しつつ進められた。また、ニュージーランドの公立小学校を訪問し、学校運営の在り方について聞き取り調査をするとともに、教職員の活動状況を観察した。 その結果、次のような知見を得た。 (1)新教育基本法の下で進められている地方教育行政法改正や全国学力・学習状況調査は、国が定立する教育目標の実現に学校・教育委員会を方向づけ、国が実施する点検・評価制度に取り込み、かつ国が推奨する教育改善に取り組ませる制度(PDCAサイクル)を作ろうとするもので、教育の地方自治、学校の自律性に矛盾する可能性がある。 (2)市区町村教育委員会の自律性を国の教育政策を相対化しつつ地域教育政策の立案する能力と捉えるならば、地方教育行政単位の広域化や教育委員会事務局の職員拡充によって自律性が確保されると考えることはできず、むしろ市区町村教育委員会問の連携と市区町村の観点に立った教育及び教育政策の研究機関の創設が必要であろう。
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Research Products
(7 results)