2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16530500
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小山 静子 京都大学, 大学院・人間・環境学研究科, 教授 (40225595)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
太田 素子 湘北短期大学, 教授 (80299867)
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Keywords | 家 / 家庭 / 人間形成 / 自伝研究 / 子ども期 |
Research Abstract |
今年度は、2年目ということもあり、史料の収集と分析に力を尽くした。具体的にいえば、1840年代から1910年代に生まれた人々が残した自伝を数多く読み、それらの史料から浮かび上がってくる人間形成のありようを検討していった。その際に特に注目したのは、自伝に何が書かれているのかということだけでなく、何が書かれていないのかということであり、家族がどのような教育的営みを行い、個々人が生きる術をどのようにして身につけていったのかという点である。 その結果、明らかになったことは以下の通りである。(1)江戸時代は、「子宝」思想に基づいて子育てが行われ、子育て文化が豊穣であった。その背景には家の継承者として、あるいは家業の安定と老後の生活保障のために、子孫への期待が広がっていたことが考えられる。(2)明治維新後に生まれ、近代学校を最初に体験した世代にあっては、生活共同体としての「イエ」や「ムラ」の解体を体験し、独学や漢学塾などの私塾への通学と、近代的な学校教育との両方の経験を並存させているという特徴が見られる。近代学校への進学に際しては、就学を支えるネットワークが存在しており、多様で強力な相互扶助の関係が存在していたことがうかがえる。(3)性別の違いに着目してみれば、女性には男性に見られたような、就学を支えるネットワークなどがほとんど存在せず、家族がもつ経済資本や文化資本によって女性の進学が規定されていた。また、女性が世に出るためには、男性以上に学歴を獲得することが重要であった。
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Research Products
(1 results)