2007 Fiscal Year Annual Research Report
戦後日本における教育自治と到達度評価-奥丹後の地域教育運動の研究-
Project/Area Number |
16530522
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Research Institution | Sakushin Gakuin University |
Principal Investigator |
小林 千枝子 Sakushin Gakuin University, 経営学部, 教授 (10170333)
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Keywords | 教育自治 / 到達度評価 / 地域と教育 / 高度経済成長期 / 学校教師 / 教材づくり / 地域に根ざす教育 / 戦後日本 |
Research Abstract |
平成19年度には、到達度評価実践において学校教育が地域にどうかかわるかという問題について、久美浜町立川上小学校を事例として理論的に詰めることができた。また、1960-70年代に丹後町の小学校教師として過疎問題に対応した教師・池井保氏の聞き書きをまとめた。さらに、奥丹後地域の高度経済成長期を彩った伝統産業でもある機業に従事していた人々の側から1960-70年代の教育と生活をとらえるべく、聞き書き調査を進めた。その過程で、池井とは違った方法で奥丹後の過疎問題や機業に従事する若者たちの問題を考えていた教師・下戸明夫の演劇活動や生き方について改めて考察することができた。奥丹後に隣接する北桑田郡美山町の1960-70年代における産業動向や定時制分校の動向についてもまとめることができた。 本年度は、以上の個別研究を踏まえながら、4年間にわたった本研究の総まとめである研究報告書作成に力を注いだ。そうして次の諸点が明らかになった。(1)教育自治、すなわち教育における住民自治で重要なのは、住民が地域社会の形成過程に対してどのような判断をし、学校に対してどのようなことを望むかという点であり、それが明らかになる過程では学校教師が一定の役割を発揮しうる。また、そのように住民が子どもや青年の成長・発達に関与するようになった段階であれば、学校教師は本来の活動である子どもの認識の発達に邁進できるし、住民もそれを指示するだろう。そうしたとき到達度評価実践は学力育成を促すものとして効力を発揮する。(2)学校教師は文化創造者となっていく可能性を秘めている。(3)学校教師は基本的に子どもたちの認識の発達を促すという教育本来の仕事を担うものだが、それには子どもたちの生活の場である地域社会の形成過程のあり方が大きくかかわるため、地域への関与も必要になってくる。その場合でも、教育内容や教材づくりの面で地域にかかわれるようにするのが、到達度評価の求めるところである。
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Research Products
(4 results)