2006 Fiscal Year Annual Research Report
障害者の生涯学習に関する実証的研究-学習権保障の視点から-
Project/Area Number |
16530529
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
小林 繁 明治大学, 文学部, 教授 (40225511)
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Keywords | 障害 / 能力 / 学習権 / ノーマライゼーション / 自己決定 / 生涯学習 / 社会教育 / ボランティア |
Research Abstract |
本年度は回収したアンケート「市町村の障害児・者の生涯学習に関する調査」の分析作業といくつかの現地調査を行った。アンケートの分析では、回答を得た1119の市町村教育委員会の中で、学校週5日制に対応した障害をもつ児童・生徒のための事業を実施しているところが44で、実施していないが1069、回答なしが7であり、全体の4%弱しか実施していないという点で、大きな課題となっていることが見てとれる。また障害をもつ人のハンディキャップに対応して事業を実施している自治体数は330、実施していない自治体は778となっている。そうした点で学校週5日制対応事業の実施状況に比べると、その割合は高いといえるが、その中でも障害をもつ人を含め全ての人を対象とした事業を実施しているところは276であり、これは回答のあった自治体の24%余りにすぎない。それに対して、障害をもつ人を主たる対象とした事業を行うことは、ポジティヴアクション(積極的差別是正)の観点から重要であるわけであるが、実施自治体は回答のあった自治体の13%足らずであった。一方、こうした事業の企画・運営において中心となっている人は誰かについて見ると、教育委員会の担当職員に次いで多いのがスタッフやボランティアであり、回答数全体の約28%を占めている。そのことは、事業においてこうした人たちの役割が大きいことを示している。それは、こうした事業を行っていない自治体の教育委員会がその理由としてあげている中でもっとも多いのが運営を担える職員とスタッフ・ボランティアがいないという回答だったこと、そして事業を行うための条件としてスタッフ・ボランティアの確保が一番多くあげられていることからもうかがえるのである。その意味で、学習における人的支援のあり方が、障害をもつ人の生涯学習を保障していくうえで大きな課題であることがあらためて浮き彫りにされたといえる。 なお、この調査の中間報告を2006年12月に行われた日本福祉教育・ボランティア学習学会の第12回研究大会で行った。
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