2006 Fiscal Year Annual Research Report
高卒フリーターの産出過程に関するエスノグラフィー研究
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16530551
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
古賀 正義 中央大学, 文学部, 教授 (90178244)
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Keywords | フリーター支援 / 臨床的研究 / 進路分化 / キャリア教育 / 労働市場 / 再チャレンジ / 質的調査法 |
Research Abstract |
本研究では、東京都三多摩地区と東北地方郡部にある進路多様校の高校3年生を対象に、パネル調査を2年間(2004年9月から2006年8月)にわたって実施した。特に「フリーター」となった卒業生の家庭背景や地域環境、学校生活状況などを把握し、彼らの進路選択に関わる価値観や勤労観、人間関係、ライフスタイルなどの特質を分析した。 最終年度の2006年度は、卒業生(対象2校合わせて、86名)の1年半後の進路を理解するため、6・7月に郵送によるアンケート調査を実施した。回収率は、67%(54票)であった。その結果によれば、進学者はそのまま在校する場合がほとんどだったが、就職者は進路変更をする者が多く(全体の約半数)、フリーター(非正規雇用)となる者も増加していた。また、大部分の者が高校時代と類似したアルバイトを行っていた。 そこで、聞き取り調査をアンケート返送者に依頼したところ、約半数(30名)が協力してくれ、8・9月に実施した。その結果によれば、高校の進路担当者が「適応的」と評価していた進路を選んだ生徒でも、人間関係の狭さや学校・職場への理解の不足などから悩みを抱える者があった。反面、「不適応的」とみなされた契約社員などを選択した者でも、地域の仲間関係や仕事・資格への興味などによって意欲的な職業生活を送る者もあった。また、東京では、フリーターであることの圧力が小さく、移行のための繋ぎとしての進路先という意味づけが定着しているのに対し、東北では、「プータロー」といった社会不適応者のイメージが流通していた。概して、皆、勤労意欲は高く、不安定な仕事からの脱却を求めていた。 こうした知見を、日本教育社会学会第58回大会で口頭発表し、多くのご意見を頂いた。2007年度には、成果を出版したいと考えている。
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Research Products
(2 results)