2005 Fiscal Year Annual Research Report
日本の国立大学とアメリカ州立大学の授業料に関する比較分析
Project/Area Number |
16530556
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Research Institution | Center for National Univercity Finance and Management |
Principal Investigator |
丸山 文裕 独立行政法人国立大学財務, 経営センター・研究部, 教授 (60144888)
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Keywords | 国立大学 / 授業料 / 運営費交付金 |
Research Abstract |
平成17年度の研究は、日本の国立大学の法人化後の授業料水準を中心に検討を進めた。その結果以下の知見が得られた。 学生1人当たり教育コストが高い国立大学の医学部や医科大学の収入において、授業料収入が占める割合は小さく、その財源は病院収入、運営費交付金、または外部資金に依存している。つまり授業料を値上げしても、全体の収入がそれほど増えるわけでもなく、標準額の10%上限程度なら、値上げするインセンティブが働かない。むしろ大学によっては、授業料を据え置いて、裕福家庭出身ではない学生に進学の道を開いたり、より優秀な学生を確保する選択肢をとるところが出てこよう。 しかし反対に、学生1人当たり教育コストの低い社会科学系学部、またはそのような学部で成り立つ単科大学は、収入全体に占める授業料の割合は高くなる。こういった大学では、授業料収入以外の収入が限られているので、運営費交付金が減額されると、授業料値上げのインセンティブが働く。つまり現行の法人制度では、低コスト学部および大学が、授業料値上げの誘引を持ち、高コスト学部や大学は、それほど値上げする必要がない、という構造的矛盾を抱えている。 本研究では、以上の仕組みを実際に大学が公表している支出、授業料収入、学生数、収容定員などのデータにより説明した。
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Research Products
(1 results)