2005 Fiscal Year Annual Research Report
現代の「職人」に着目した社会科学習における新たな職業観、職業意識の育成
Project/Area Number |
16530566
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
大澤 克美 東京学芸大学, 教育学部, 助教授 (20323735)
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Keywords | 職業観 / 労働観 / 社会科 / ものづくり / 技術・技能 / 働く人間 / フリーター / 勤労観 |
Research Abstract |
本年度は、昨年度末に実地調査を行った事例の中から山形県の「株式会社マイスター」とその経営者であり自らも現代の「職人」である高井作氏を取り上げ、中学校公民分野の経済学習を対象とした教材化と学習プランの作成を行い、学会誌に発表した。それと平行して、先進的なセル生産システムで知られるキャノン株式会社阿見事業所の調査を行い、働く人間の意欲を引き出す生産システムの実際について明らかにした。この調査の報告書については、キャノン広報部より、生産性向上に関する現場の取り組みとその考察についての詳細な記述を避けて欲しいとの要請があり一部を削除したが、教材開発の新たな視点を得た。 また、東京学芸大学附属小金井小学校で研究実践を行うことを考慮し、商工会等の協力を得て小金井市・国分寺市で独自の技術力でものづくりに取り組む事業所の調査を実施した。自動車産業で研究実践を行うことが決まったことから、ブレーキ部品を製造する株式会社ムラコシ(小金井市)の福島工場と、日産自動車株式会社の九州工場を協力者である授業者と共に調査して、教材化を進めた。 研究実践を行うに当たっては、事前と事後に自由記述による調査を実施し、学習の広がりと深まり、仕事に対する子どもの認識の変容を明らかにした。ここでは、展開計画等の問題はあったものの、5年生の子どもがものづくりの仕事を通して働く人間を共感的に理解することは可能であることが示された。特に、働く人間に対する子どもの認識の構造を仮説的ながら示すことができた点が重要であると考える。今後は、それを踏まえて高度な技術・技能を必要とする仕事において自己を実現していく人間の教材化を業種を超えてどのように進めるかが課題となる。 最後に上記の研究内容と昨年度の研究内容について、報告書にまとめた。
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Research Products
(2 results)