2005 Fiscal Year Annual Research Report
選択・契約型福祉時代における消費者教育の社会システム形成
Project/Area Number |
16530594
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
永原 朗子 山口大学, 教育学部, 教授 (50263752)
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Keywords | 高齢者福祉 / 高齢者疑似体験学習 / 介護トラブル / 高齢者理解 / 消費者教育プログラム / 選択・契約型福祉時代 / 高齢者・消費者権利 / 授業実践 |
Research Abstract |
消費者トラブルの増加、企業不祥事の続発等、消費者が安全で安心して消費生活を送ることが出来る社会が今、求められている中、介護保険制度の施行・改正後においても、高齢者をめぐる介護トラブルは後を絶たず、社会的な対応が大きな課題となっている。そこで、この課題に着目し、高齢者が安心して介護サービス・商品を活用しながら自立した生活を送ることが出来るための支援として学校教育、とりわけ家庭科教育において消費者教育の充実・推進を図ることが重要であると考えた。そして、選択・契約型福祉時代における消費者教育の社会的システム形成を最終目的としながら、高齢者の福祉をめぐる消費者問題・被害に対して、主体的に解決出来る実践力を育てるための知見とプログラムの開発を一連の研究の中で提案してきた。 開発したプログラムは、21世紀の高齢社会を生きる子どもたちの教育を担う教員の資質向上を図ることを目的に、介護サービスや商品をめぐる高齢者福祉を題材として、人権教育と福祉教育の2つを柱とした家庭科教育における消費者教育プログラムである。(平成16年度報告) 本研究は、そのプログラムに基づいて教員養成系の大学生(教育学部生28名)を対象に、高齢者の全人的理解を深めることを目的に高齢者疑似体験(身体的・精神的)を導入し、計6回(1回:90分)の授業を実践した。 そして、学習効果とプログラムの有効性について考察すると共に、その充実・推進に向けて授業構成および学習内容の構造化について検討した。 その結果、以下のことが明らかになった。 1.学習後は、学習意欲が向上すると共に知識の深まりも見られた。 2.高齢者擬似体験学習は高齢者の全人的理解につながり、介護トラブルに見られる権利侵害を発見する方法として有効であった。 3.高齢者理解の深まりによって、介護トラブルの解決につながる消費者教育プログラムを作成することが出来た。 4.高齢者福祉を題材とした消費者教育の充実・推進に向けて、学習の位置づけを横軸に、育てる力を縦軸として、福祉教育・人権教育と消費者教育の視点から学習が深まるよう、家庭科教育における消費者教育の授業構成と学習内容の構造化を図った。
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