2006 Fiscal Year Annual Research Report
選択・契約型福祉時代における消費者教育の社会システム形成
Project/Area Number |
16530594
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Research Institution | Kinjo University |
Principal Investigator |
永原 朗子 金城大学, 社会福祉学部, 教授 (50263752)
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Keywords | 消費者被害 / 高齢者・消費者権利 / 選択・契約型福祉時代 / 消費者教育の社会システム / 権利擁護 / 介護トラブル / 高齢者理解 / 尊厳と人権 |
Research Abstract |
現代社会において、安全で安心した生活を送ることは誰もが願うことである。しかし、介護保険法導入後および改正後において、介護サービス・商品に関わる消費者被害が多発し、高齢消費者の権利侵害や虐待が顕在化してきており、不全で不安な社会を呈していると言わざるを得ない。 この様な状況下に、消費者基本法が制定され、その基本理念として「消費者権利」が明確化されると共に「消費者の自立支援」が示されたことは周知のとおりである。 今や、高齢消費者は消費者基本法時代、介護保険法時代と言われる選択・契約型福祉時代を生きて行く上で自らの意思決定を余儀なくされる。そこで、高齢消費者の自立支援には権利擁護は欠かせなく、その重要性は高まるばかりである。 本研究は、選択・契約型福祉時代における消費者教育の機会の拡充、内容の充実、担い手の強化を図ることを目的に、その社会的な組織づくりについて検討し、構築・提言していくことにある。 その際、消費者基本法および消費者基本計画における消費者教育を確認し、学校、社会教育施設、高齢者に対する教育など様々な場で実践された消費者教育の現状から課題と問題を整理した。一方、資質・専門性の向上の徹底から福祉関係従事者の教育改革に示された教育理念・目標および教育内容を確認し、福祉専門教育と消費者教育の教育学的連関について考察した。その連関の中で、他職種間における情報交換・交流を通してより専門性の高い人材を育成することは高齢消費者の被害防止につながる。 ここで、消費者教育と福祉教育の目標を確認すると、高齢者福祉文化・福祉社会の創造に向けて高齢者・消費者権利の観点から他者と連帯して被害・問題を改善・解決していく主権者としての自覚と能動的で積極的な実践力を育てることにある。 これらのことから、選択・契約型福祉時代における消費者教育の新たな展開として、高齢者の全人的理解をベースに、尊厳と人権を中軸とした学校教育・専門教育・市民教育の相互連携を図るシステムを形成した。
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