2006 Fiscal Year Annual Research Report
数学的一般化の過程における社会的相互作用に関する記号論的・認知論的研究
Project/Area Number |
16530602
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Research Institution | Fukuoka University of Education |
Principal Investigator |
山口 武志 福岡教育大学, 教育学部, 助教授 (60239895)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山下 昭 福岡教育大学, 教育学部, 教授 (60036910)
飯田 慎司 福岡教育大学, 教育学部, 教授 (20184351)
清水 紀宏 福岡教育大学, 教育学部, 助教授 (50284451)
岩崎 秀樹 広島大学, 大学院教育学研究科, 教授 (50116539)
馬場 卓也 広島大学, 大学院国際協力研究科, 助教授 (00335720)
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Keywords | 数学的一般化 / 社会的相互作用 / 内包的一般化 / 外延的一般化 / 一般化分岐モデル / 分数の除法 / 負の数の減法 |
Research Abstract |
平成17年度までの研究では,Dorflerの一般化理論を批判的に検討した上で,質的に異なる2つの数学的一般化を「内包的一般化」と「外延的一般化」に分岐させながら,「一般化分岐モデル」を新たに提案している。このうち,「内包的一般化」は,既知の対象を普遍化することによる一般化である。一方,「外延的一般化」は,記号の内的構造に基づいて,未知の対象を構成するような一般化である。平成18年度の研究では,こうした2つの一般化を基盤とする「一般化分岐モデル」を分析の視点としながら,主として次の2つの研究に取り組んだ。 第1の研究は,小学校算数(数と計算)と中学校代数の質的相違について,一般化分岐モデルの視座から理論的に考察したことである。具体的には,意味的側面と形式的側面という2つの視座から,小学校算数(数と計算)から中学校代数への接続の特質を分析した。このうち,意味的側面については,量に基づく理解から数の操作に基づく理解への移行を促すことが接続の要となることを指摘した。また,形式的側面としては,Wittmannの「パターンの科学としての数学」という教授思想を援用しながら,数から文字への自然な移行を促す教材やカリキュラムの重要性を指摘した。 第2の研究は,第1の理論的な考察をふまえながら,小学校算数(数と計算)と中学校代数の接続を図る移行教材を開発し,その指導について考察したことである。具体的には,小学校における移行教材として「分数の除法」を,また,中学校における移行教材として「負の数の減法」をとりあげながら,その指導の留意点を指摘した。 なお,研究の最終年度にあたるので,3年間の研究成果を取りまとめた報告書を作成した。
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Research Products
(1 results)