2005 Fiscal Year Annual Research Report
スペシャル・ニーズのある児童・生徒の数学学習支援Webデータベースの作成
Project/Area Number |
16530607
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
小田切 忠人 琉球大学, 教育学部, 教授 (00112441)
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Keywords | 数概念 / 計算スキル / 特別支援 / 知的障害 / 発達障害 / 学習障害 / 学習段階 / 学習達成 |
Research Abstract |
基礎的な数学の学習にスペシャル・ニーズのある子どもたちに対して継続的に教育介入を行い、数と計算の学習における達成状況を観察し、教授学習の、所期の目標を達成するための、「現実の世界」「モデルの世界」「シェーマの世界」「数学の世界」と名づけた学習の四段階を検証し、その過程のデータベース化を進めた。具体的な内容は、以下のとおりである。 機械的な数唱を訓練されてきた、しかし、十進法の概念獲得でつまずいてしまっている軽度の知的障害がある子どもに対して、治療的な教育介入を続けてきた。この子は、百までは何とか数唱でき、「23」を「二十三」と言って書くことができたが、一から順序良く数唱し機械的に答えるだけであった。数唱せずに十が二つと一が三つという認識から二十三を得ることはできなかった。いま、この子は、その十進法の考えを理解しつつある。その過程、すなわち、上の四段階に沿って、一から三まで、四と五、六から九まで、そして、十から九十九までの数の学び直し求めてきた教授学習の過程を資料として収集した。 高機能自閉的な特徴をもつ別の子は、十進法の考えは理解できているが、位取りの概念は獲得していなかった。そのため、この子は、数字の読み書きはできたが、たし算は数え足しでするしかなかった。いま、この子は、位取りの考えを理解しつつある。 その外、髄膜炎により大きな知的なダメージを受けた、その後奇跡的に回復したがたし算の学習でつまずいてしまっていた子ども、水痘症によるダメージが観察され、繰り上がりの学習でつまずいてしまっていた子ども、知的なダメージを生後受けた経歴はないが、顕著な不注意が観察され、繰り上がり繰り下がりの学習でつまずいてしまっていた子ども等が、各々の学習困難を克服し、いま、かけ算の学習を進めている。 なお本研究では、養護学校や仲良し学級の教師たちとの交流も定期的に行ってきた。
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Research Products
(1 results)