2004 Fiscal Year Annual Research Report
ロービジョン児の読書行動の獲得過程ならびに発達過程に関する研究
Project/Area Number |
16530615
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
柿澤 敏文 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 助教授 (80211837)
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Keywords | ロービジョン / 視行動 / 発達 / 視距離 / ビデオ分析 / 視覚障害 / 弱視 |
Research Abstract |
視力や視野等の視機能に障害のあるロービジョン児・者は、見る対象に顔を極めて近づけて観察している様子が認められる。このような、ロービジョン児・者が見やすい視距離を保つ行動は、乳幼児期にも認められるのであろうか。本研究では、2名のロービジョン乳幼児の視行動についてビデオ録画し、どのように視対象を見ているのか、特に視距離を中心に検討した。 対象児はIT(男児、視力0.25、現在、小学校通常学級在籍)とKK(女児、視力0.02〜0.03、小学校弱視学級(点字使用)在籍)である。データ収集は、観察者が対象児の各家庭を不定期に訪問し、行った。訪問は、ITが生後4ヶ月から5歳4ヶ月まで計18回、KKが生後10ヶ月から5歳9ヶ月まで計18回である。データ収集は自由遊び場面で行い、各訪問において約60分間VTR(SONY製,DCR-PC10)に録画した。ビデオ記録から、任意に、対象児が視行動を行っている場面を抽出し、行動を筆記記録すると共に、ビデオ動作解析プログラム(DKH製,IFS-23E)を用いて視距離を算出した。 生後4ヶ月から観察を開始したITは、5ヶ月の時点まで眼球に浮遊性の動きや眼振が認められた。固視行動の確立は7ヶ月で記録され、同時に能動的な視行動が記録された。視距離は10cmから2mまで変化に富んでいた。図鑑を見るなど細部を見るときには10cm程の比較的短い視距離をとる一方、おもちゃなどを見つけたり、テレビを見るときには50cm程の視距離をとるなど、目的や視対象に応じた視距離をとった。 一方、KKは1cmから1mの視距離を示した。15cm大のボールの発見では1mの視距離から可能であったが、テレビを見たり、鏡を覗き込んだり、光源を探索するなど細部を見る場合には一貫して5cm以下の視距離を保つ行動が観察された。 本研究の対象乳幼児は、1歳程度から自分の見え方に応じた視行動を発達させていることがわかった。
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Research Products
(3 results)