2005 Fiscal Year Annual Research Report
ロービジョン児の読書行動の獲得過程ならびに発達過程に関する研究
Project/Area Number |
16530615
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
柿澤 敏文 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 助教授 (80211837)
|
Keywords | ロービジョン / 視行動 / 発達 / 視距離 / ビデオ分析 / 視覚障害 / 弱視 |
Research Abstract |
本研究では、自由視条件における視距離と読書時間を測定し、ロービジョン者の視野の状態と、文字サイズ、視距離の関係を検討した。対象者は晴眼大学生2名と、高校生以上のロービジョン者20名(男性17名、女性3名)である。ロービジョン者のうち、視野障害のない対象者が6名、中心暗点のある対象者が4名、視野狭窄のある対象者が10名であった。測定に先立って、本研究の目的や内容の説明を行い、測定参加に同意した対象者が測定に参加した。読材料としてMNREAD-J(はんだや製)を用いた。対象者には最も読みやすい視距離でチャートを読むように指示をした。対象者の側方に配置したビデオカメラで撮影した測定場面をパソコンに取り込み、映像編集ソフトを用いて対象者と読材料との距離(視距離)の変化と読速度を算出した。なお、対象者が正しく読まなかった文字などを記録し、3分の2以上を正確に読むことができた文字サイズのデータを有効データとした。 測定の結果、晴眼者は、文字サイズが大きいと視距離は長く、サイズが小さくなるとともに視距離を短くした。視野障害のない対象者では、文字サイズと視距離の関係は晴眼者と類似していた。文字サイズと読速度の関係についても、同様に、晴眼者と類似していた。中心暗点がある対象者では、文字サイズの大きさに関わらず視距離を大きく変えなかった。読速度は全体的に値が小さく、文字サイズが小さくなるにつれて読速度も低下した。視野狭窄のある対象者は、文字サイズと視距離、読速度の関係について、視野障害のない対象者と似たパターンを示す対象者と、中心暗点のある対象者と似たパターンを示す対象者がおり、分類が可能ではないかと考える。 本研究の結果、視野の状態により視距離調節方略が異なる可能性が示された。今後、眼疾患や視力、屈折異常の状態等との関連から検討が必要である。
|
Research Products
(3 results)