2005 Fiscal Year Annual Research Report
家庭場面の物理的環境整備による効果的な行動問題改善プログラムに関する研究
Project/Area Number |
16530620
|
Research Institution | Joetsu University of Education |
Principal Investigator |
藤原 義博 上越教育大学, 学校教育学部, 教授 (10173501)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平澤 紀子 岐阜大学, 教育学部, 助教授 (20320393)
|
Keywords | 家庭場面 / 発達障害児 / 行動問題 / 物理的環境 / 実態調査 / 事例研究 |
Research Abstract |
本研究は、家庭場面で家族が確実に実行できる行動問題改善プログラムを開発する2年目の課題として、1 家族が工夫し、成功した活動に関する実態調査(二次調査)から、行動問題が生じにくく望ましい行動が生じやすい物理的環境条件の内容を分析し、また、2 事例研究から、家庭場面で家族が確実に実行するための個別指導場面の役割について検討した。 1 知的障害養護学校・特殊学級在籍児家族の「とくに教えやすかった活動」上位5つ134名と「とくに難しかった活動」上位5つ127名における家族の工夫に関する回答は、数量化III類とクラスター分析から各4つのクラスターに分類された。各クラスターに所属する20事例へのインタビューと実施場面のビデオ記録(3事例)から、(1)当初の状況、(2)工夫の理由や内容、(3)実施できた理由、(4)継続できた理由、(5)もっと良い工夫に関する自由回答を分析した。その結果、成功の要因として、子どもの実態や家庭独自の活動のやり方・実施場所からの工夫、それによる子どもの取り組み、また、家族の実施機会の確保が挙げられ、とくに物理的環境条件は情報があればもっと活用できるとされた。 2 事例研究では、知的障害養護学校中学部1年と小学部5年の2名の知的障害の兄弟とその家族を対象として、家庭場面で取り組むことが難しかった活動や行動問題に対し、改善に向けて必要な物理的環境設定や家族の対応の仕方を明らかにするための個別指導場面の在り方について検討した。(1)家族のニーズや家庭環境の査定、(2)それに基づく標的場面や標的行動を選定し、(3)個別指導場面で実施した上で、(4)家族の援助を含む行動形成手続きや標的行動の確立や発展に必要な家庭の環境設定を検討した支援計画を家族との協議し、(5)家庭で実行してもらった。その結果、標的とされた「食事」や「歯磨き」の遂行機会が増えた。本結果から、個別指導場面の役割として、家庭場面を想定した物理的環境や活動の流れを設定したシミュレーションによって、補助的手段の導入も含め、家庭場面で家族が確実に実行するための環境設定を確定できることが示された。今後の課題として、この設定を活かした行動形成手続きを明らかにする必要性が示された。
|
Research Products
(3 results)